File No.0051
製作年/公開日 1986年 / 1986年10月17日 製  作  国 日  本
監      督 和泉 聖治 上 映 時 間 102分
公開時コピー     
最初に観たメディア
 Theater  Television  Video
キ ャ ス ト
 名高 達郎 [as 橋口 裕]
 高樹 沙耶 [as 北村 沙耶]
 土屋 昌巳 [as 神崎 繁]
 加賀 まり子 [as 神崎の母]
あ ら す じ  ビニ本のカメラマン橋口は、編集者の神崎と組んで仕事をしていた。ある夜 、橋口は神崎に沙耶という女性を紹介される。プロのモデルと思った橋口は早速撮影を試みるが、沙耶は逃げ去ってしまう。ケロイドで被われた男性の春画風のデッサンを残して。そして後日、沙耶からデッサンを受け取りたいと電話がある。沙耶と会った橋口は沙耶を強引に抱こうとするが、沙耶は感じないから駄目だと頑なに拒むのだった。
 数日後伊豆へロケに行った橋口は、ビニ本コーディネーターとして神崎が連れて来た沙耶と再会する。その日、橋口はバスルームで神崎のケロイドを見てしまう。橋口は神崎のケロイドは沙耶に関係があるのではないかと思うが、神崎は事故の原因は母親だと言い張るのだった。
 沙耶は徐々に橋口に対して心を開くようになり、一緒に暮らし始める。だがある日、沙耶はなぜか以前の頑なな態度に戻ってしまう。途方にくれた橋口は家を出るが、その間に神崎が猥褻図書発刊の罪で逮捕されてしまう。1カ月後、出所した神崎は沙耶をモデルに死姦を撮りたいと、雨の中橋口を自らのマンションに呼び出す。そして、橋口は神崎と沙耶の口からすべての真相を聞かされるのだった。雨に濡れた体を拭く沙耶、その美しさに橋口はついカメラを手にして沙耶を撮り始める。が、そのファインダーの中に橋口は信じられない光景を見るのだった ・・・・・。
たぴおか的コメント  これがデビュー作となった高樹沙耶の謎めいた美しさと、「すみれSeptember Love」で一躍有名になった一風堂のボーカル土屋昌巳が演じる神崎のアンニュイで退廃的なイメージが強烈な作品で、名高達郎が演じる主役の橋口がかすんでしまっている。特に土屋昌巳が演じる神崎は、表面上は親しそうに橋口と会話を交わすが、その実は絶対に橋口には正体を見せない影を背負っているという複雑な役柄を、ただ台本通りに演じるだけでなく、俳優が本職でないにもかかわらず独自の神崎の世界を創りあげているのは見事と言うほかはない。神崎は橋口に沙耶を紹介して、一体何を見たかったのか?橋口が自分と同じように沙耶を理解できずに術を失う様か、あるいは自分の成就できなかった願望を橋口に叶えて欲しかったのか。すべては透視図のように、直接触れて確かめることはできない。