評     価  

 
       
File No. 0074  
       
製作年 / 公開日   1982年 / 1982年07月  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   リドリー・スコット  
       
上 映 時 間   117分  
       
公開時コピー  
2020年
レプリカントは人類へ宣戦布告!
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ハリソン・フォード [as リック・デッカード]
ルトガー・ハウアー [as ロイ・バティ]
ショーン・ヤング [as レーチェル]
エドワード・ジェームズ・オルモス [as ガフ]
M・エメット・ウォルシュ [as ブライアント]
ダリル・ハンナ [as プリス]
ウィリアム・サンダーソン [as J・F・セバスチャン]
ブライオン・ジェームズ [as リオン・コワルスキー]
ジョー・ターケル [as エルドン・タイレル博士]
ジョアンナ・キャシディ [as ゾーラ]
ジェームズ・ホン [as ハンニバル・チュウ(眼球製作者)]
モルガン・ポール [as ホールデン]
ケヴィン・トンプソン [as ベア]
ジョン・エドワード・アレン [as カイザー]
ハイ・パイク [as タフィ・ルイス]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    2019年。人類は宇宙へ進出し、残された人々は高層ビルの林立する都市に住んでいた。遺伝子工学の新技術によってレプリカントと呼ばれる人造人間が生産され、彼らは人間に代わって危険な作業や過酷な労働を強いられていた。
 最新のネクサス6型レプリカントは、知能・運動能力が人類に勝り、感情以外は人間と何ら変わるところがないうえに、その感情さえも製造から数年経てば芽生えてくる。そのため、安全措置として4年の寿命が定められていた。
 ある時、6体のレプリカントが新天地を離れて地球を訪れ、うち2体は処分されたものの、残る4体のロイ・バティプリスゾーラ、そしてリオン・コワルスキーは地球に侵入してしまったため、ブレードランナーが対処に当たることになる。
 ブレードランナーとは、ロイたちのような人類に対して反旗を翻したレプリカントを処分する任に就く特別捜査官だった。ところが、地球に侵入したうちの1体、リオンのテストに当たっていたブレードランナーが、あろうことかテストの最中にリオンに銃殺されてしまう。そこで、今は引退して無職の元ブレード・ランナー、リック・デッカードに、残るレプリカント4体を見つけて始末するという任務が下される。
 デッカードはレプリカント製造の最大手・タイレル社に行き、そこでエルドン・タイレル博士と秘書のレーチェルに出合う。彼は博士の依頼でレーチェルをテストし、彼女がレプカリントであることを言い当てる。自分がレプリカントかもしれないという疑問に怯えていたレーチェルは、その事実を知ってしまいタイレル社から逃亡してしまう。こうして、デッカードの処分対象にレーチェルも加えられるのだった。
 リオンが宿泊していたホテルに残された手がかりから、デッカードは踊り子に扮して潜入しているゾーラにたどり着き、彼女を射殺する。その後リオンに襲われるが、危ういところをレーチェルに救われ、デッカードは彼女を自分のアパートに匿うのだった。
 一方、レプリカントのリーダーであるロイ・バティは、タイレル博士に自分たちの寿命を延ばすよう要求する。だが、いかなる方法を採ろうともそれが不可能であることを知ったロイは、博士を惨殺してしまう。
 残る2体のレプリカントを追うデッカードはプリスを処分し、ついに最後の1体であるロイと対決するのだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』といういかにも意味深長なタイトルの小説を映画化した作品。上辺だけを観れば極めて単純なストーリーではあるが、原作のタイトルがタイトルだけに、深読みすればするほど様々な解釈ができるような気がする。
 2019年という近未来を描いた作品だが、舞台となるロサンゼルスの雰囲気は、お世辞にも未来的とは言えず、むしろ時代退行してしまっているような煩雑な雰囲気だ。“強力わかもと”を筆頭に日本語の看板がやたらと目に付き、屋台の親爺を演じているのが益田喜頓というのも洒落のつもりだろうか。ハリソン・フォード演じるデッカードの間で、親爺の日本語が通じているのが不思議だ。
 自らに寿命があることを知り、それを何とかして延命しようと地球に訪れたロイ、プリス、ゾーラ、そしてリオンの4体のレプリカントと、彼らの始末を命じられたデッカード、そしてそれに巻き込まれるもう1体のレプリカントのレーチェルが主要なキャラクターになるのだが、その中でも注目すべきは、何と言ってもロイに扮するルトガー・ハウアーの圧倒的な存在感と凄み、それにダリル・ハンナとショーン・ヤングがそれぞれ演じる、プリスとレーチェルの美しさだろう。
 『ブレードランナー』という作品、様々なバージョンが存在するため、どのバージョンを観るかによって、解釈が異なってしまうんじゃないかと懸念される。つい最近に観た『ブレードランナー/ファイナル・カット』では、劇場版の随所に存在したはずのデッカードのモノローグがすべて割愛されている。どうやら、劇場版に存在したデッカードのモノローグは、制作会社がこの作品を難解だとして付け加えたもので、監督のリドリー・スコットは「勝手に追加された」として気に入らないらしく、そのために、『ディレクターズ・カット』や『ファイナル・カット』では省略されているようだ。
 このデッカードのモノローグ、実はその後を大きく左右してしまいかねない内容をも含むため、その有無の好みも大きく分かれそうだ。私はやはり最初に観たこともあって、『ファイナル・カット』には物足りなさを覚えた。レーチェルだけは寿命が設定されていないため、ラストの2人の逃避行がある意味ハッピーエンドとなることや、ひいてはガフがレーチェルを始末することなくデッカードの任務を完了としたことも、レーチェルの寿命の有無が大きく関わってくるのだ。