製作年/公開日
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1990年 / 1991年12月
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製 作 国
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フランス
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監 督
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パトリス・ルコント
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上 映 時 間
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80分
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公開時コピー
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かほりたつ、官能。
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最初に観たメディア
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キ ャ ス ト
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ジャン・ロシュフォール [as アントワーヌ]
アンナ・ガリエナ [as マチルド]
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ヘンリー・ホッキング [as 12歳のアントワーヌ]
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あ ら す じ
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少年アントワーヌは床屋の女主人シェーファー夫人に性的興奮を覚え、いつか髪結いの亭主になることを夢見る。それから10数年後、大人になったアントワーヌは、一軒の床屋で美しい女理髪師マチルドを見て「自分の結婚相手はこの人しかいない」と心に決め、唐突にマチルドに求婚するのだった。3週間後、店を訪れたアントワーヌにマチルドは「あなたの気持ちが変わっていないなら、あなたの申し出を受ける」と答えるのだった。ささやかな結婚式をあげ、2人は一緒に暮らし始めた。
夢が叶ったアントワーヌは彼女以外何も要らなかった。仕事も、友人も、子供さえも。2人の店に様々な客がやって来ては帰って行き、幸福で静かな日々が続く。しかし、ある雷雨の日、アントワーヌと愛し合った後にマチルドは、「買い物に行く」と言って雨の中に飛び出していく。そして、濁流に身を投じてしまう。マチルドはアントワーヌに「あなたが死んだり心変わりして不幸になる前に死ぬ」という手紙を残していた。マチルドのいない店の中で、アントワーヌはひとりアラブの音楽にのせて踊るのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
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いかにもフランス映画といった雰囲気に満ちた作品で、全編がセピアに彩られている。おそらくは、男性と女性ではこの作品に対する感想が異なるのではないだろうか。女性にとっては納得できる結末であったとしても、私を含む男性にとっては悲壮な思いすら伴うような結末だからだ。アントワーヌとマチルドの愛、それは彼ら2人にとって唯一確かなものであって、それでいて砂上の楼閣のように脆く儚いものだった。幸せな時間は永遠に続くことはなく、いつかは必ず何らかの形で別れは訪れる。それを恐れて幸せの絶頂で自ら命を絶ったという、マチルドの気持ちはわからないではない。だが、それは彼女のエゴであって、愛する者の幸せを考えれば絶対に選択してはいけない選択肢だと思う。たとえ愛情が次第に薄れようとも、2人で支え合って過ごした時間は消えることはない。そしてその時間は堆積して、やがては砂上の楼閣のような脆いものではなく、確かな記憶として永遠に残るものだから。マチルド亡き後、店に訪れた客に向かい「もうすぐ妻が帰ります」と語ったアントワーヌの心中は私には計り知れない。そして、アントワーヌのあの踊り。奇妙な踊りだけに今でも目に焼き付いてしまっている。
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