評     価  

 
       
File No. 0156  
       
製作年 / 公開日   1985年 / 1985年12月21日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   相米 慎二  
       
上 映 時 間   100分  
       
公開時コピー       

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   斉藤 由貴 [as 夏樹伊織]
榎木 孝明 [as 広瀬雄一]
岡本 舞 [as 那波裕子]
矢代 朝子 [as 細野恵子]
藤本 恭子 [as 那波佐智子]
中里 真美 [as 伊織(少女時代)]
伊藤 公子 [as お手伝い・伸江]
東 静子 [as 女の浮浪者]
高山 千草 [as 管理人]
中 真千子 [as 那波夫人]
レオナルド熊 [as 吉岡刑事]
伊達 三郎 [as 管理人・丸山]
斎藤 康彦 [as 風間修]
酒井 敏也 [as 近井]
加藤 賢崇 [as 川田]
森 英治 [as 同僚]
大矢 兼臣 [as 那波孝三]
寺田 農 [as 屋台の親爺]
伊武 雅刀 [as 車掌]
塩沢 とき [as 学校の先生]
河内 桃子 [as カネ]
世良 公則 [as 津島大介]
 
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あ ら す じ    7歳の少女夏樹伊織は、施設から那波家に引き取られて人間不信に陥っていた。そんな伊織と出会った広瀬雄一は、家政婦のカネから反対されるが、親友津島大介の応援もあって伊織を育てる決心をする。そして、10年の歳月が流れた。
 雄一は、17歳になった伊織に北大を受けさせようとしていた。そんなある日、雄一と伊織の住むアパートに、那波家の長女裕子が引っ越して来た。裕子の歓迎会がアパートの住人たちによって開かれた夜、自室に戻った裕子が青酸で殺されてしまい、伊織が容疑者として刑事につきまとわれてしまう。さらにカネから「雄一が伊織がひとりの女として成長する時を待っている」と言われ、二重のショックを受ける。そして、雄一を“偽善者"呼ばわりしてしまうのだった。
 春、伊織は見事北大に合格する。雄一と大介との3人で合格祝いをしている時、大介が九州栄転の話を切り出した。そして、伊織に一緒に来てほしいと申し出るのだった。大介の申し出に、伊織は頷く。そして、次の日の朝・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    デビュー当時からファンだった斉藤由貴の主演映画とあれば、これはもう観ないわけにはいかないでしょう。というわけで、劇場に観に行ったうえに当然ながらプログラムまで買いました。
 当時はただ単に「斉藤由貴が可愛い」ことしか目に入らなかったが(笑)、自分を育ててくれた人に対する思いがいつしか愛情に変わってしまったことに戸惑う伊織を演じた斉藤由貴の演技力は抜群だ。榎木孝明や世良公則といった芸達者とも、見劣りすることなく互角に渡り合っている。そのことは、以後も映画やテレビドラマを観れば明らかだろう。
 単純な恋愛ドラマを予想していたのだが、実はサスペンス要素の強い作品だで、いわゆるアイドルのスクリーンデビュー作として異色に思える。殺人の疑いをかけられた、斉藤由貴演じる伊織。ところが、頼みの榎木孝明扮する雄一は、伊織が美しい女性に成長することを期待して育てたわけじゃない、その想いから伊織を好きになるのはむしろ自然な成り行きなのにもかかわらず、素直に接することが出来ない。そして伊織もまた、自分を育ててくれた雄一を愛してはいけないと、ずっと心に嘘をついて生きてきたのだ。
 そんな伊織と雄一に絡んでくるのが、世良公則扮する津島大介で、大介もまた雄一同様に伊織を好きになってしまう。そのために、雄一と大介の間で伊織の気持ちは微妙に揺れ動くのだが、その辺りの斉藤由貴の演技はお世辞抜きにして見事だと言うほかはないと思う。残念なのは、もう少し伊織と雄一の絆の強さを前半で描いていれば、よりラストが盛り上がったのだが。