File No.0410
製作年/公開日 2006年 / 2006年11月03日 製  作  国 日  本
監      督 生野 慈朗 上 映 時 間 121分
公開時コピー  兄貴、元気ですか?これが最後の手紙です。
最初に観たメディア
 Theater  Television  Video
キ ャ ス ト
 山田 孝之 [as 武島直貴]
 玉山 鉄二 [as 武島剛志]
 沢尻 エリカ [as 白石由美子]
 吹石 一恵 [as 中条朝美]
 尾上 寛之 [as 寺尾祐輔]
 田中 要次 [as 倉田]
 吹越 満 [as 緒方忠夫]
 風間 杜夫 [as 中条]
 杉浦 直樹 [as 平野]
あ ら す じ  川崎のリサイクル工場で働く武島直貴には、会社の同僚や積極的に彼に話しかけてくる食堂の配膳係由美子にもまるで打ち解けず、人目を避けて暮らさなければならない理由があった。兄の剛志が、直貴を大学にやるための学費欲しさに盗みに入った邸宅で誤って人を殺してしまい、千葉の刑務所に服役中なのだ。
 直貴のもとに毎月剛志から届く手紙には、宛名面に淡いピンクの桜の印が押されている。それは刑務所の検閲印だった。手紙は、無期懲役を宣告された剛志にとっては自分と塀の外とを繋ぐ唯一の絆であり、生きがいそのものである。そして 、兄が罪を犯したのは結局は自分のせいなのだと自責する直貴にとっても手紙はひとつの贖罪であり、少しでも兄の心が慰められればと、自らの日常を丹念に綴った返事を書き送っていた。
 しかし、気がつけば進学、夢、恋人、就職、結婚、人生の幸福の全てが兄が服役囚だということだけで自分の手をすり抜けてゆく。それでも毎月一度、届き続ける兄からの手紙。兄貴がいる限り 自分の人生はハズレだとやけになる直貴をいつも支えていたのは、由美子の存在だった。
 やがて由美子と結婚し、長女も誕生して直貴の生活に安らぎが訪れたかに見えた。だが、そのささやかな幸せが再び兄の噂のために脅かされるようになった時、直貴は決意する。塀の中から手紙を送り続けてくる兄との繋がりをすべて捨ててしまおうと・・・・・。
たぴおか的コメント  この作品を観て泣いていた女性が少なくなかったが、私にはどうしても虚構の世界のイメージを強く感じられて今ひとつに思えた。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるが、そういった信念を持つ人間が周囲に誰一人としていないという、現実にはあり得ない設定で、直貴の悲劇を強調したいがための作為を感じる。まして、人を殺めたのは直貴本人ではなく、兄であるにもかかわらず、だ。そして、直貴が人間の弱さを集めたような人間で、彼を支える由美子がと正反対でとても強く、このあまりに対照的な設定も非現実的だ。唯一、直貴の漫才を聞きながら嗚咽にむせる、玉山鉄二扮する剛志にだけは「本物」を感じたが。また、剛志には殺意がなかったのは明らかだから、罪状は殺人ではなく強盗致死傷罪だ。余談だが、バイクで朝美のハンドバッグを奪い転倒させて負傷させた犯人にも、実は同じ罪状が適用になる。いかに俳優がいい演技を見せてくれても、原作や脚本が読者や観客を泣かせようという意図が露骨に感じられてしまい残念だ。