File No.0423
製作年/公開日 2006年 / 2006年12月09日 製  作  国 イギリス / ハンガリー
監      督 アニエスカ・ホランド 上 映 時 間 104分
公開時コピー  孤高の音楽家ベートーヴェン、歴史に隠されたもう一つの物語。
 “第九”誕生の裏に、耳の聴こえないベートーヴェンを支えた女性がいた。
最初に観たメディア
 Theater  Television  Video
キ ャ ス ト
 エド・ハリス [as ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン]
 ダイアン・クルーガー [as アンナ・ホルツ]
 マシュー・グード [as マルティン・バウアー]
 ジョー・アンダーソン [as カール・ヴァン・ベートーヴェン]
 ビル・スチュワート [as ルディー]
 ニコラス・ジョーンズ
 フィリーダ・ロウ
 ラルフ・ライアック
あ ら す じ  1824年のウィーン。"第九"の初演を4日後に控え、未だ合唱パートをが完成させていないベートーヴェンのもとに、作曲家を志す若き女性アンナが写譜師として送り込まれる。女性のコピストが現われたことに激怒するベートーヴェンだったが、やがて彼女の才能を認め写譜の仕事を任せるのだった。頑固で傲慢・不遜な変人と称されるベートーヴェンだったが、彼の音楽を深く理解するアンナは苦悩するベートーヴェンを力強くサポートしていく。
 そして、ついに迎えた“第九”初演の日、難聴のため指揮棒を振ることに怯えていたベートーヴェンだったが、アンナに励まされ指揮台に立つと、彼女の合図を頼りに指揮をやり遂げる。演奏が終わると、聴衆は誰もがスタンディング・オベーションを送り、演奏会は大成功を収めたのだった・・・・・。
たぴおか的コメント  作品自体の出来は素晴らしく、女性監督のためにややアンナ中心に偏っている気がしなくはないが、それでも、第九演奏のシーンでは全身に鳥肌が立つくらいの興奮と感動を覚えた。それだけに、本筋には影響がないような小さな点が気になって仕方がない。例えばこの邦題、「敬愛なる」という使い方は日本語としておかしい。「親愛なる」または「敬愛する」とするのが正しい使い方だと思う。そして致命的なのが、作品中で"エリーゼ"という女性名が会話に登場すること。これはハッキリ言って大きな間違い。注意して聞いていなかったため、元々の台詞自体が誤っていたのか、それとも字幕が謝っていたのかがわからないのは悔しいのだが、ベートーヴェンの周囲には"エリーゼ"という名の女性は存在していない。ベートーヴェンのあまりに有名なピアノ小品「エリーゼのために」は、実は彼の悪筆のために"テレーゼ"と書いたつもりが、誤って"エリーゼ"と読まれて定着してしまったのは、知る人ぞ知る史実なのだ。製作が誤ったのか、字幕翻訳が誤ったのか、いずれにしてもこれほど大きな歴史的誤謬を見過ごして公開するとは、あまりに軽率すぎるのではないか。