【File No.0497】
製作年/公開日 2006年 / 2007年02月10日 製  作  国 日  本
監      督 渡辺 謙作 上 映 時 間 114分
公開時コピー  町対町、役所と住民、上司と部下、そして男と女
 今、一線を越える!
最初に観たメディア
 Theater  Television  Video
キ ャ ス ト
 江口 洋介 [as 北原修路]
 原田 知世 [as 香西瑞希]
 瑛太 [as 智希]
 菅田 俊 [as 舞坂町長]
 飯田 孝男 [as 前田 善朗]
 小林 麻子 [as 本田]
 余 貴美子 [as 室園絹]
 岩松 了 [as 田尻]
あ ら す じ  とある地方の街、舞坂町。旅行会社に勤務する北原修路は、日々変わり映えのない職務を淡々とこなし、贅沢とは程遠いアパートでひとり夜を過ごしていた。そんな平凡なある日の夜、自宅ポストに投函された町の広報紙に「舞坂町はとなり町の森見町と戦争をする」という小さな記事が載っていることに気づいた。
 翌朝。開戦初日だというのに、町にはいつも通り何の変化も見られない。その時、北原の携帯電話が鳴った。相手の女性はは対森見町戦争推進室の香西と名乗り、用件は北原の自宅宛に送付した偵察業務の辞令交付式の件だという。戦争の姿が全く見えず状況を飲み込めない北原は、事実を香西から直接聞いて確認するために町役場へと向かった。
 町役場では、北原の質問に対して香西が答える。「心配しなくても大丈夫ですよ。行政事業ですから。ちゃんと遂行されてます。」と。そして、北原は通勤時に見聞きしたことを報告するという特別偵察業務に従事することを受諾するのだが・・・・・。
たぴおか的コメント  地元のシネコンでは今日4月7日から公開のため、早速と言う遅まきながらと言うべきか、とにかく劇場へ行ってきた。自分の町と隣の町との戦争という、非日常へいきなり巻き込まれて実感を持てない北原、それはまるで現在の日本人を象徴しているかのようで、これに対する香西が実に機械的な応対でいわゆる「お役所」をシニカルに描いているのが面白い。戦況の報告を聞き、その戦死者の割合を隣の町と比較して、それを住民からの支持率に置き換えて一喜一憂する町長。現実にそんな町長が存在したらたまったものではないが、それをバカバカしいと一笑に付すことができないのが現実だと思うと空恐ろしさを覚える。かといって、そういったブラックさだけに徹底した作品ではなく、そんな現状を異常だと感じて疑問を持ち、自分の信念を貫こうとする北原と、彼と任務との板挟みになりながらも、次第に北原に変えられて人間らしさを取り戻していく香西。そんな2人のラブストーリーが一抹の明るい光となって、暗くなりがちな作品に活気を与えているのがいい。