File No.0520
製作年/公開日 2006年 / 2007年05月19日 製  作  国 アメリカ
監      督 マーク・フォースター 上 映 時 間 112分
公開時コピー  男は悩んでいた。自分だけに聴こえる、作家の声に。
最初に観たメディア
 Theater  Television  Video
キ ャ ス ト
 ウィル・フェレル [as ハロルド・クリック]
 ダスティン・ホフマン [as ジュールズ・ヒルバート]
 マギー・ギレンホール [as アナ・パスカル]
 エマ・トンプソン [as カレン・アイフル]
 クィーン・ラティファ [as ペニー・エッシャー]
あ ら す じ  平日は朝起きたら歯磨きでは決まった回数のブラッシング、決まった歩数でバス停へ行き、決まった時間のランチタイム、帰宅したら毎晩決まった時間にベッドへ入る。それが、国税庁の会計検査官ハロルド・クリックのここ12年の間狂いなく繰り返された毎日だった。ところが、そんな彼の日常に女性の声が割り込んできた。その声は、物語のナレーションのように彼の考えていることや言動を語るのだった。そして、その声は彼以外の誰にも聞こえなかった。
 ある日、彼は調査のために訪れたパン屋で、店を切り盛りしているアナ・パスカルに惹かれてしまう。しかし、そんな彼の耳に、例の女性の声でとんでもない言葉が飛び込んできた。「このささいな行為が死を招こうとは、彼は知るよしもなかった」と。彼の相談相手であるヒルバート教授は、その声の主に殺されるかもしれないハロルドに、人生を好きに生きるよう忠告する。
 長期休暇をとったハロルドは、歯磨きの回数やバス停への歩数を数えることをやめ、アナへ愛を告げる。思いはアナに通じ、有頂天になるハロルド。ところが、翌日ヒルバート教授の研究室で、ビデオに映る女性が彼を悩ませていた声の主であることに気づく。その女性は小説家のカレン・アイフルで、彼女は小説で必ず主人公を殺していたのだった。現在彼女が執筆している小説の主人公の名はハロルド・クリック。そして、カレンはついに主人公の最高の死なせ方を思いつき、小説は完成しようとしていた・・・・・。
たぴおか的コメント  ウィル・フェレル主演ということでおバカ満載のコメディかと思ったのだが、意に反して結構シリアスでブラック・ユーモアの効いた作品だった。ウィル・フェレルの押さえた演技が光り、アナ役のマギー・ギレンホールが可愛くて魅力的だ。そして、芸達者なダスティン・ホフマンやエマ・トンプソンが脇を固めている。アナという恋人ができ、生まれて初めて「生きている」という実感を持てた男が、同時に死刑宣告を受けてしまうという皮肉な状況に陥ってしまう。ダスティン・ホフマン扮するヒルバート教授のセリフにある通り、人は誰もが必ずいつかは死ぬ。そして、誰もが自分が死ぬ時を知らず、自分が死ぬことすら忘れて生きているのだが、万が一その時を知ってしまった者は果たして幸せなのか?ともすれば重くなりがちなストーリーを軽妙にまとめた佳作だ。