評     価  

 
       
File No. 0534  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2007年06月16  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   荻島 達也  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   切なさの「今」を描いたスローラブストーリー  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   成海 璃子 [as 相原リョウ]
小出 恵介 [as 野崎シンヤ]
片瀬 那奈 [as 原田]
古手川 祐子 [as リョウの母]
岩城 滉一
八千草 薫 [as シンヤの祖母]
 
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あ ら す じ    傷つきやすく内気な女子高の2年生リョウは、横浜に家族と住んでいた。友達のいない彼女はケイタイも持っていない。そんなある日、公園でおもちゃのケイタイを拾うと、その翌日、他の誰にも聞こえない着信音が頭の中に鳴り響き、若い男性の声が聞こえてきた。それは、長野のリサイクルショップで働く青年シンヤの声だった。この時から、ずっと孤独だった2人の、頭の中のケイタイを介した不思議な交流が始まるのだった。
 ある日、シンヤにかけたはずの“電話”に女性が出る。原田と名乗るリョウより10歳上の彼女は、それ以来時々リョウの話し相手になってくれた。一方、シンヤと“電話”での会話を重ねるうち、2人の心は打ち解け、互いの存在に励まされるようになっていく。そしてついに、2人は実際に会う約束をするのった。
 ついにシンヤが仕事で東京へ来ることになり、リョウはシンヤと会う約束を交わす。そして、その当日久しぶりに原田から“電話”がかかってくる。シンヤに会うことを伝えると、原田は「これからどんなことがあっても、あなたなら乗り越えられる」と謎めいた言葉を残して“電話”は切れてしまう。原田の言葉が気にはなったものの、シンヤとの待ち合わせ場所へ急ぐリョウだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    成海璃子が主演なのに加えて、あの『暗いところで待ち合わせ』の乙一の原作ということで、楽しみにしていた作品。頭の中のケイタイで見知らぬ青年と会話をするという、現実にはあり得ないような設定のファンタジーだが、そんなことなど気にもならないほど、乙一の世界に完全に埋没させられてしまった。成海璃子の、役柄ごとに違ったキャラクターを演じ分けられるその才能にはただただ感心するばかりで、それに加えて脚本・演出・構成の巧みさが随所に見て取ることができる。それは、リョウとシンヤの間の1時間の時差であり、リョウとシンヤが初めて出会うシーンの描き方であり、腕時計という小道具の使い方であり、あるいは片瀬那奈演じる原田という存在の意味であり。すべてが実に絶妙なシンフォニーを奏でるかのように絡み合っていて、クライマックスでは目頭が熱くなるのを禁じ得なかった。間違いなくもう一度劇場へ行くことになるだろう、今年観た作品の中でもトップクラスの秀作だ。