評     価  

 
       
File No. 0617  
       
製作年 / 公開日   2006年 / 2007年11月10日  
       
製  作  国   ド イ ツ  
       
監      督   クリス・クラウス  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   弾く時だけわかる。
何のために生まれてきたか。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ハンナ・ヘルツシュプルング [as ジェニー・フォン・レーベン]
モニカ・ブライブトロイ [as トラウデ・クリューガー]
スヴェン・ピッピッヒ [as ミュッツェ]
リッキー・ミューラー [as コワルスキー]
ヤスミン・タバタバイ [as アイゼ]
シュテファン・クルト
ヴァディム・グロウナ [as ゲルハルド・フォン・レーベン]
ナディヤ・ウール [as ナディネ・ホフマン]
 
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あ ら す じ    ピアノ教師として刑務所を訪れたトラウデ・クリューガーは、鍵盤に見立てた机を無心で叩く少女ジェニー・フォン・レーベンと出会う。類い希なピアノの才能を持つジェニーは、幼い頃から神童と呼ばれ数々のコンテストで入賞する実力を持ちながら、殺人事件で有罪判決を受けて以来心を固く閉ざし、誰に対しても決してうち解けようとしなかった。彼女の才能を見抜いたクリューガーは、残り少ない自分の人生を彼女の才能を開花させるために使うべきだと決意し、刑務所長を説得して特別レッスンを始めるのだった。
 愛を知らずに育ったジェニーと、若い頃に愛する人を失って以来音楽だけに人生を捧げてきたクリューガーの戦いが始まる。生きてきた環境も考え方も全く異なる2人は激しく衝突するが、どんなことがあろうと自分のピアノの才能を信じてくれるクリューガーに対し、次第にジェニーは心を開くようになっていった。しかしある日、ジェニーに重傷を負わされて以来彼女を忌み嫌う看守ミュッツェの罠にはめられ、ジェニーはこれまた彼女を嫌う女囚のアイゼに対して暴力事件を起こしてしまう。
 ジェニーはコンテストの決勝を前に、ピアノを弾くことを禁じられてしまう。そして、彼女を庇ったクリューガーは刑務所を解雇されてしまう。しかし、クリューガーの胸の内には、ジェニーをオペラ座の晴れの舞台に立たせるための、驚くべき計画があったのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    最近は佳作に枯渇したかのようなハリウッドよりも、ドイツ映画に面白い作品が多いと常々感じているが、この作品も例に漏れない秀作だ。とにかく、主演の老若2人の女優が素晴らしい。主演のハンナ・ヘルツシュプルングは1200人の中から選ばれた新人だが、周囲のあらゆる事を受け入れるのを拒絶し、自らの存在価値を見いだせずに自暴自棄になった天才ピアニストを好演。その目つきや表情は、もはや彼女以外の役者にはこの役は演じられないのではないかと思わせるほどだ。加えて、おそらく吹き替えなしだと思われるピアノの演奏が素晴らしく、後ろ手に手錠をかけられながら弾くピアノにはただただ驚くばかりだ。対するベテラン女優のモニカ・ブライブトロイも、ハンナの若さに対して老練な味わいのある演技を披露してくれている。
 クライマックスの4分間はまさに戦慄の4分間で、背筋に鳥肌が立って仕方なかった。そして、ラストでジェニーのすべてを認めて受け入れたクリューガーのかすかな笑みが印象的だ。