File No.0693
製作年/公開日 2007年 / 2008年03月01日 製  作  国 日  本
監      督 小泉 堯史 上 映 時 間 110分
公開時コピー  愛する人へ  遺したいものがある
最初に観たメディア
 Theater  Television  Video
キ ャ ス ト
 藤田 まこと [as 岡田資]
 ロバート・レッサー [as 主任弁護人フェザーストーン]
 フレッド・マックィーン [as 主任検察官バーネット]
 リチャード・ニール [as ラップ裁判委員長]
 西村 雅彦 [as 町田秀実]
 蒼井 優 [as 守部和子]
 近衛 はな [as 小原純子]
 加藤 隆之 [as 岡田陽]
 田中 好子 [as 水谷愛子]
 富司 純子 [as 岡田温子]
あ ら す じ  1945年5月、米軍による名古屋市街への絨毯爆撃が行われ、その際撃墜されパラシュートで降下した米軍搭乗員38名が日本軍により拘束される。東海軍司令官岡田資中将は、彼らを略式裁判によって斬首刑に処した。終戦後、岡田中将をはじめとする被告人20名は、捕虜を殺害した罪で起訴された。これに対し岡田中将は、搭乗員はジュネーブ条約の定める捕虜ではなく、無差別爆撃を行った戦争犯罪人であり、かつ、当時の状況では略式の手続きもやむを得なかったとその正当性を主張した。この裁判を“法戦”と名付けて、徹底的に争う意志を貫く一方、部下の行為も含めすべての責任は司令官である自分にあると、部下を守り全責任を負う論戦を展開していくのだった。
 岡田資中将の潔い姿は、彼を弁護する主任弁護人フェザーストーンはもちろんのこと、ラップ裁判委員長やひいては検察官バーネットの心をも動かしていく。そして、岡田資中将に下った判決は絞首刑だったが、部下19名は誰ひとり死刑に処せられることはなかった。結審後、岡田資中将を懲役刑に減刑すべきという意見や、絞首刑ではなく兵士としては戦死に等しい名誉である銃殺にすべきだという意見がGHQ内部に起きた。それらはすべてマッカーサーによって却下されるが、それはまさしく岡田資中将が“法戦”に勝利した証であった。
たぴおか的コメント  日本は第2次世界大戦の敗戦国であり、アメリカは戦勝国。俗な言い方になるが、「勝てば官軍、負ければ賊軍」であり、東京裁判を筆頭に行われた戦犯に対する裁判は、あくまで日本を裁く裁判であってアメリカの好意の是非を問う場ではなかった。そして、そんな裁判に臨んだ岡田資中将は、自らの助命を乞うような卑屈さとは無縁で、あくまでB29による絨毯爆撃の違法性を主張し、そのパイロットたちは捕虜ではなく戦犯であり、彼らを殺したのは「報復」ではなく「処罰」であったと訴えた。そして、すべての責任を自らが負うことで部下を助けようとするその姿は潔いの一言に尽きる。自ら死を覚悟したからこそ、彼の態度は公正無私であり、裁く側であったアメリカ人たちの心をも揺さぶることができたのだ。決して派手さはなく、衝撃的な映像も皆無、ただ淡々と法廷シーンが繰り広げられるのだが、ただ木訥に淡々と語る藤田まことの言葉には圧倒的な意志の強さを感じる。戦争という異常な状況下において、ただただ国のために責任を全うした人間の尊厳と凛々しい姿がそこにはある。