評     価  

 
       
File No. 0737  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年05月10日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   fランク・ダラボン  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー  
霧の中には何が待っていたのか
映画史上かつてない、震撼のラスト15分
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   トーマス・ジェーン [as デヴィッド・ドレイトン]
マーシャ・ゲイ・ハーデン [as ミセス・カーモディ]
ローリー・ホールデン [as アマンダ・ダンフリー]
アンドレ・ブラウアー [as ブレント・ノートン]
トビー・ジョーンズ [as オリー・ウィークス]
ウィリアム・サドラー [as ジム・グロンディン]
ジェフリー・デマン [as ダン・ミラー]
アレクサ・ダヴァロス [as サリー]
ネイサン・ギャンブル [as ビリー・ドレイトン]
ケリー・コリンズ・リンツ [as ステファニー・ドレイトン]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    湖のほとりに住むデヴィッドは、ある嵐の夜の翌朝、妻のステファニーを残して息子のビリーと2人でスーパーに買い出しに出かける。隣人の弁護士ノートンも同乗した車がスーパーの駐車場に着くと、デヴィッドは妻に連絡を取ろうとした。ところが、なぜか携帯も公衆電話も不通だった。外はすでに濃霧で覆われており、店内はやはり嵐の被害にあったと思われる大勢の買い物客で大混雑だった。そんな中、突然鼻血を流した中年男ダンがマーケットに駆け込んできて、霧の中に何かがいると必死の形相で訴えた。そして、発熱したビリーのために毛布を取りに倉庫に行ったデヴィッドや、発電機を調べに来た副店長のオリーらは、ダンの言う「何か」のものと思われる巨大な触手に襲われ、ひとりが霧の中へ連れ去られてしまう。
 デヴィッドらは、事態を皆に説明する役をノートンに頼もうとするが、必死の説明にもかかわらずノートンは全く話を信じようとせず、デヴィッドらの制止も振り切って数名を連れて店外へと出て行ってしまう。残された人々は、駐車場に面したガラスを保護するために、肥料やドッグフードの袋を次々と積み上げていき、また、武器になるようなナイフ、モップの柄などがかき集められた。そんな中で、骨董屋の女主人カーモディだけは、皆の不安をさらにかき立てるかのような聖書の引用文をひたすらつぶやいていた。しかし、異常な状況の中冷静さを失った人々は、一人また一人とカーモディの言葉を信じるようになり、デヴィッドたちは次第に孤立していく・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    コピーには「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」とあるが、今までの経験上そんな作品に限って観てみたら失望させられることが多いものだ。が、この作品は違う。まさに「震撼のラスト」であって、スクリーンから伝わってくるのは救いようのない絶望、その後味はかつてないほど悲惨だ。さすがスティーヴン・キングの原作だけある・・・・・なんて思ったが、実はこの作品のラスト、原作とは違う終わり方をしているらしい。そして、スティーヴン・キング自信もこの作品のラストを絶賛しているとのこと。少なからず映画を観てきた私だが、これほど作品のうわべだけを観れば、先日の『クローバーフィールド』と似通ったものがあるが、こちらの作品の方が間違いなく面白い。以前にも何かの作品のコメントに書いた通り、真に恐ろしいのは人を襲う怪物などではなく、極限状態に陥った人間の狂気であり、この作品はその恐ろしさを実にリアルに描いているからだ。そして、スティーヴン・キングという作家は、読者や観客をそんな心理的恐怖に導く術に長けている。劇中の人物が語る人間の本質観の通り人間は弱い生き物で、特に極限状態に置かれると心の拠り所を求めて藁にもすがりつくもの。そんな弱さにつけ込まれた狂信者たちの集団ほど恐ろしいものはない。単にパニック・ホラーとして観るもよし、パニックに陥った人間の変わりゆく様に注目するもよし、様々な見方に耐えうる秀作だ。