評     価  

 
       
File No. 0738  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年05月10日  
       
製  作  国   アメリカ / クロアチア / ボスニア・ヘルツェゴヴィナ  
       
監      督   リチャード・シェパード  
       
上 映 時 間   103分  
       
公開時コピー   狙った獲物は《最上級》  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   リチャード・ギア [as サイモン・ハント]
テレンス・ハワード [as ダック]
ジェシー・アイゼンバーグ [as ベンジャミン]
ダイアン・クルーガー [as マルヤナ]
ジェームズ・ブローリン
ジョイ・ブライアント
マーク・イヴァニール
ゴラン・コスティッチ
ディラン・ベイカー
 
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あ ら す じ    カメラマンのダックとコンビを組み、命をも顧みない戦場レポートで一流レポーターの座にいたサイモン・ハントは、サラエボの虐殺で自分の子を身籠もっていた恋人を惨殺されたために、ボスニア紛争の生中継でブチ切れたレポートをしたために局を解雇されてしまった。以来サイモンは消息も不明となっていたのに対し、ダックはカメラマンとしての地位を確立し、危険なレポートとは無縁の優雅な生活を送っていた。
 ある日、かつての相棒である戦場ダックダックの前に、サイモンが突然姿を現わす。そして、すっかり現場から遠ざかっていたダックに、最大級のネタがある持ちかけた。そのネタとは、“民族浄化”の名の下に行われた大虐殺の首謀者で、500万ドルの賞金が懸けられた大物戦争犯罪人フォックスの潜伏場所についての情報だった。再起を懸けるサイモンはフォックスのインタビューを撮り、トップレポーターに返り咲きたいと言う。そんなサイモン半ば強引な熱意に押し切られ、ダックは彼女とのバカンスを渋々犠牲にして、カメラマンとして同行することを承諾する。さらにサイモンのネタを聞きつけた新米プロデューサーのベンジャミンも、2人に同行すると言い出す。こうして3人、は世紀のスクープを狙って危険な旅に出るのだったが、イカれたサイモンの狙いは別にあった。それは、インタビューではなく、フォックスを生け捕りにして500万ドルの懸賞金を手に入れるという危険この上ないものだったのだ・・・・。
 
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たぴおか的コメント    実は、観る前は途中で意識を失うのではないかと心配だったのだが、観てみると予想を覆す面白さで眠気など吹き飛んでしまった。作品自体はフィクションなのだが、ターゲットとなったフォックスのモデルは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争中にセルビア人支配地域の大統領として民族浄化を唱え、大量虐殺を行ったラドヴァン・カラジッチで、彼は未だに逮捕されていないという。この作品のジャンルはサスペンスあるいはアクションに分類されるが、それでいてどことなくユーモラスな印象を受けるのは、主役のサイモンを演じたリチャード・ギアのブチ切れぶりの見事さゆえであることは言うまでもない。そして、フォックス確保というとてつもない難題に挑む3人を、決して荒唐無稽ではなくあくまでリアルかつジャーナリスティックに描きながら、ユーモアのペーソスも加えて上質のエンターテイメントに仕上げているのは見事だ。日本にいては知ることのない“紛争”について踏み込んで描いている点でも、実に興味深い作品だ。