評     価  

 
       
File No. 0742  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年05月10日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   キム・ジフン  
       
上 映 時 間   121分  
       
公開時コピー   今日、弟が殺された。
オレの目の前で
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   キム・サンギョン [as カン・ミヌ]
イ・ヨウォン [as パク・シネ]
イ・ジュンギ [as カン・ジヌ]
アン・ソンギ [as パク・フンス]
ソン・ジェホ [as 神父]
ナ・ムニ [as 盲目の老母]
パク・チョルミン [as インボン]
パク・ウォンサン [as ヨンデ]
ソン・ビョンホ [as ジヌの担任]
チョン・インギ [as 医師]
イ・オル [as 中佐]
 
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あ ら す じ    1980年5月。早くに両親をなくした青年ミヌは、タクシーの運転手をしながら弟ジヌを養い、成績優秀なジヌがソウル大学の法学部に入学することを夢見ていた。ジヌと同じ教会に通う看護師のシネに片想いしていたミヌは、ジヌをダシにして念願のシネとのデートにこぎ着け、3人で映画を観に行った。5月18日のことだった。
 映画の上映中、突然館内に逃げ込んできた青年を、追ってきた兵士が棍棒で激しく殴打し、同時に館内は催涙弾の煙に包まれた。軍事クーデターにより権力を握った全斗煥が、民主化への動きを鎮圧するために光州へ送り込んだ戒厳軍のなせる業だった。観客たちが外に出ると、そこは逃げまどう人々と、逆らう者はすべて暴徒と見なし打ちのめす兵士たちで騒然としていた。光州事件勃発のこの日、ジヌの親友サンピルも兵士に殴り殺されていた。
 軍のあまりの横暴に市民が立ち上がり、親友を殺されたジヌもデモ運動に参加する。これに対し、5月21日に知事は正午までに軍を撤収させると宣言した。そして約束の刻限となり、全羅南道庁前で兵士と対峙していた市民のデモ隊から歓声がわき起こる。ところが、軍は一向に撤収しようとせず、あろうことか市民に対して一斉射撃を開始したのだ。そして、父親を亡くして泣き叫ぶ子供を救おうとしたジヌを1発の銃弾が貫いた。兵士への敵対行為に消極的だったミヌは、たったひとりの愛する家族を奪われた怒りに、ついに戦う決意をするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    18年にわたる独裁軍事政権を統べた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が1979年10月に暗殺され、これに取って代わって軍事クーデターにより権力を握った全斗煥に対する学生の抗議デモに端を発した光州事件。韓国政府の発表によると事件の死者数は207名とのことだが、おそらくは実際の犠牲者はその数倍に及ぶのではないかと思われる。同年9月に大統領に就任した全斗煥は、事件を「金大中氏を中心とする内乱陰謀事件」とし、同氏に死刑を宣告している。しかしながら、金大中氏の助命を求める国際的非難により同氏は刑執行停止で釈放され、87年には与党代表の盧泰愚が「民主化宣言」を発表するに及んで、軍事政権は終焉を見ている・・・・・というのは、事後に調べてわかったことで、その当時の私は最も近い隣国でありながら韓国に対して何の興味もなく、加えて韓国内のマス・メディアによる情報操作もあり、この悲劇について何の知識も持ち合わせていなかった。そのため、95年に元大統領と前大統領である全斗煥と盧泰愚が内乱罪で懲役判決を受けたことが不思議で仕方なかったことを覚えている。そんな蒙を啓く意味でも、また、純粋にドラマとして観ても、充分に見応えがある作品だ。特に、退役軍人で市民抵抗軍のリーダーを演じたアン・ソンギの存在感が圧倒的。また、キム・サンギョンやイ・ジュンギ(彼には女装の方が似合っている気がするが)、それに、ともさかりえ似のイ・ヨウォンの演技もいい。ただ、韓流作品らしい少々度が過ぎる演出とメロドラマ仕立てはともかくとしても、インボンとヨンデの余計なコメディ要素だけは排除して欲しかった。