評     価  

 
       
File No. 0744  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年05月10日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   深川 栄洋  
       
上 映 時 間   86分  
       
公開時コピー   死ぬまえに見た最後のメール。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   中村 優一 [as 柴原潤]
桐谷 美玲 [as 早川希実]
高橋 優太 [as 村井直樹]
久保 翔 [as 加藤翔一]
桜庭 ななみ [as 早川由紀]
川原 真琴 [as 飯島ひかり]
永井 朋弥 [as 藤沢誠]
藤澤 恵麻 [as 矢田みちる]
渡辺 いっけい [as 柴原保]
 
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あ ら す じ    高校3年の柴原潤は、競泳部のエースだった。しかし、夏のインターハイ予選で、同じ学校のライバル村井直樹に負けたうえに、プールで意識を失ってしまう。病院に運ばれた潤は肥大性心筋症との診断を受け、心臓に負担をかけるような激しいスポーツを禁じられてしまった。将来の夢を断たれて落ち込んでいた潤は、どこか見覚えのある車椅子の少女に声をかけられるが、それが誰なのかを思い出せずに少女を傷つけてしまうのだった。
 後日、車椅子の少女が誰だったのかを潤は思い出した。彼女は、自分と同じ競泳部の1年先輩の早川希実で、病気のために留年して潤と同じクラスで、しかも席は隣同士だったのだ。潤は入院している希実に学校からの連絡物を渡す係になるが、すべての不幸を一身に背負ったような潤に対して、希実は辛辣な言葉を容赦なく投げかけてくるために、ついつい喧嘩になってしまうのだった。
 その頃潤は、自分と同じジュンという名前の少女とメル友になっていた。きっかけは、ジュンが携帯を買って取ろうとしたアドレスをすでに潤が使っていたために、ジュンが誰だかわからないアドレスの主にメールをしたことだった。潤のアドレスは名前と誕生日を組み合わせたもので、ジュンは名前ばかりか誕生日までが潤と同じだったのだ。潤は水泳を諦めたことや受験のこと、希実と喧嘩したことまでをジュンにメールした。そして、返ってくるジュンのメールに心を癒された潤は、やがて会ったこともないジュンを本気で愛するようになるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    雑誌JUNONの恋愛小説大賞で第一回優秀賞を受賞した同名小説を映画化した作品。同日公開された『体育館ベイビー』は『同級生』と同じ原作者の手によるもので、原作では別々の主人公が描かれていたところを、映画化にあたり同じ主人公の物語にしたもの。本来ならば両方の作品を観てみたいところなのだが、『体育館ベイビー』はどうやら男色の気があるようなのでパスすることにした(笑)。
 この作品自体は、全体的に透明感がある中に儚さが感じられ、非常に素直で受け入れやすい作品に仕上がっている。ただ、尺が90分未満と短いためか、主人公の潤の描き込みが足りない印象を受け、今ひとつ作品自体にも深みが欠けているのが残念。それに対して、希実を演じた桐谷美玲はインパクトがあり、もっと彼女が登場するシーンを増やして欲しい気もした(それは作品の構成上無理な相談なのだが)。それはともかく、後半で希実の真意が妹の由紀を介して明らかにされるのだが、希実の真摯で切実な願いがわかると、その健気さには心を動かされる。現実の自分は病に冒され、しかも憎まれ口ばかりをきく嫌われ役であるにもかかわらず、我が身も顧みずにひたすら潤を支えようとした少女の思いが、潤を絶望から救ったのだ。