評     価  

 
       
File No. 0746  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年05月24日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ブルース・A・エヴァンス  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   富も名声も手に入れた男
彼が殺人鬼であることは、誰も知らない
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ケヴィン・コスナー [as アール・ブルックス]
デミ・ムーア [as トレーシー・アトッド]
デイン・クック [as ミスター・スミス]
ウィリアム・ハート [as マーシャル]
マージ・ヘルゲンバーガー [as エマ・ブルックス]
ダニエル・パナベイカー [as ジェイン・ブルックス]
レイコ・エイルスワース [as シェイラ]
ルーベン・サンチャゴ=ハドソン
 
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あ ら す じ    オレゴン州ポートランドの大物実業家アール・ブルックスは“今年の顔”にも選ばれたセレブリティで、豪華な邸宅に美人の妻エマと穏やかに暮らしていた。しかし、彼には妻のエマさえにも見せないもう一つの裏の顔を持っていた。通称“指紋の殺人鬼”と呼ばれ、何の証拠も残さずに殺人を繰り返す彼は、殺人アディクト(=依存症)だったのだ。そして、2年の間抑圧してきた殺人への渇望が、再び堰を切ってあふれ出したのだ。
 頭部に銃弾を撃ち込まれた若いカップルの死体が発見され、担当刑事のアトウッドは、2年の沈黙を破って再び“指紋の殺人鬼”が動き出したことを確信した。ところが、それまでは何の証拠も残さずに完璧な殺人を繰り返してきた“指紋の殺人鬼”ことブルックスは、この殺人で致命的なミスを犯した。殺人現場の部屋のカーテンが開いており、向かいのアパートの青年が現場の盗撮をしていたのだ。そして、その青年はミスター・スミスと名乗り大胆にもブルックスのオフィスに現れて、ブルックスが鮮明に写った現場の写真を突きつけた。
 スミスの目的は金ではなく、実に意外な取引を持ちかけてきた。それは、次の殺人の際に自分を現場に連れて行き一部始終を見せて欲しいというものだった。こうして、これまで完璧にコントロールされていたブルックスの二重生活は破綻をきたしていく。一方、アトウッドは現場のカーテンが殺人の際に開いていた琴に気づき、向かいのアパートで目撃者探しを始める。そして、写真が趣味の青年が凄い写真を撮ったともらしていたという情報を入手し、次第にブルックスへの距離を縮めていく・・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ケヴィン・コスナーが演じる殺人鬼に興味津々で、初日の初回を予約して出かけた渋谷Q-AX。以前にやはり初日・初回のQ-AXだった『フローズン・タイム』と比べると、意外なほど空席が目立ったのが気になった。殺人鬼とは言うものの、ブルックスは心底殺すことを楽しむ殺人者ではなく、止めようと思いながらも衝動を抑えきれない殺人依存者というのがミソ。良心との葛藤に悩み何度も殺人をやめようと苦しむブルックスと、殺人を犯した後の高揚感・恍惚感に打ち震えるブルックスという、二面性有するキャラクターを演じ分けたケヴィン・コスナーはさすが。そして、殺人を実行するブルックスよりも恐ろしいのが、彼と常に行動を共にして秘密を共有するマーシャルを演じたウィリアム・ハートだ。殺人を繰り返すことに喜びこそ感じても、躊躇や後悔といった感情を一切持ち合わせない典型的な快楽殺人者で、彼の柔和でいて一癖もふた癖もありそうなルックスで演じると凄みが増す。なんでも、彼との共演をケヴィン・コスナーが熱望したらしい。“指紋の殺人鬼”を追う刑事役にデミ・ムーアを配するなど、豪華な顔ぶれで描かれた秀作だ。背筋が凍るような戦慄のラストシーンには寒気を覚えたが、実はそれはブルックスの夢だったとわかって、ホッとした反面夢で終わらせても良かったような気がした。