評     価  

 
       
File No. 0756  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年060月07日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   三谷 幸喜  
       
上 映 時 間   136分  
       
公開時コピー   最後に笑うのは誰だ?  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   佐藤 浩市 [as 村田大樹]
妻夫木 聡 [as 備後登]
深津 絵里 [as 高千穂マリ]
綾瀬 はるか [as 鹿間夏子]
西田 敏行 [as 天塩幸之助]
小日向 文世 [as 長谷川謙十郎]
寺島 進 [as 黒川裕美]
戸田 恵子 [as マダム蘭子]
伊吹 吾郎 [as 鹿間隆]
浅野 和之 [as 清水医師]
市村 萬次郎 [as 菅原虎真]
柳澤 眞一 [as 高瀬允]
香川 照之 [as 江洞潤]
甲本 雅裕 [as 太田垣直角]
近藤 芳正 [as 今野貴之介]
梶原 善 [as 西さん]
阿南 健治 [as 野島]
榎木 兵衛 [as なべさん]
堀部 圭亮 [as バンビ]
山本 耕史 [as 愚痴る男]
市川 亀次郎 [as カメ]
市川 崑 [as 監督]
中井 貴一 [as 磐田とおる]
鈴木 京香 [as 小夜子]
谷原 章介 [as ニコ]
寺脇 康文 [as ワンチャイ・バンダラビカル]
天海 祐希 [as 喪服の女]
唐沢 寿明 [as ゆべし]
 
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あ ら す じ    港町・守加護Z(すかご)を牛耳るギャングのボス天塩幸之助の手下で、ホテルの支配人の備後登は、あろうことかボスの愛人マリに手を出し、そのことがボスにばれてしまった。捕らえられた備後は苦し紛れに「知り合いのデラ富樫が助けてくれれば」と呟くと、それが右腕の黒川を通じてボスの耳に入り、ボスから5日以内にデラ富樫を連れて来ればマリともども自由にすると持ちかけられた。
 備後は助かるために何が何でもデラを探さなければならなかったが、幻の殺し屋と呼ばれたデラは見つからないままに期限が迫っていた。そこで、備後は窮余の一策を考え出した。その策とは、デラ富樫の顔を誰も知らないのを幸いに、ボスに顔を知られていないような売れない役者を連れてきて、デラ富樫の偽物に仕立て上げることだった。そして、備後は自らを映画監督と名乗って無名の俳優村田大樹を雇い、映画の撮影と偽ってデラ富樫を演じさせるのだった。
 村田演じるデラをボスに引き合わせた備後は、彼にデラを連れて来させたボスの真意を知って狼狽した。驚くべき事に、デラは天塩に敵対する江洞の依頼を受けて数日前に天塩を狙撃しており、自分を殺そうとしたデラを始末するのが本当の目的だったのだ。すべてが映画の撮影だと思い込み、本物のギャングを相手に恐れを知らない大胆不敵な態度で臨んだ村田扮するデラ富樫。天塩は自分に対して全く動じることのない村田を本物のデラ富樫だと信じ込み、備後はほっと胸をなで下ろしたのも束の間、自体は予期しない方向に展開する。デラを気に入ってしまった天塩が、彼を客分として雇うと言い出したのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    確かに面白いとは思う。が、それはあの佐藤浩市があんな演技を!?という意外性に拠るところが大きい。佐藤浩市扮する売れない役者の村田が、映画で主役に抜擢されたために舞い上がり、必要以上に過剰な演技で笑わせてくれるのだ。特に、テイク3まで繰り返されたナイフを舐めながら名乗るシーンは、回を追うごとに演技がエスカレートしていき、これを受ける西田敏行の巧さも加わって大ウケしてしまった。けれども、部分部分では笑えるシーンが満載とは言え、作品全体を俯瞰すれば単なるドタバタコメディの域を越えていない気がする。ただ笑えるというだけで、時間がたてばきれいサッパリと忘れてしまう、そんな浅薄さを感じるのだ。しかも、誰が観ても疑う余地がないコメディであるにもかかわらず、必要以上にシリアスな演技をさせたことで、現実的な粗が目立ってしまった。よくコミックなどでヤクザが「コンクリートのブーツを履かせて・・・」というセリフを吐くが、現実にはそんな手間のかかる方法で殺すギャングはいない。ラストでは伝説のスナイパーであるというデラ富樫の本物が登場するが、プロがあの距離でライフルを持参するなどあり得ない。そして、そのプロが子供だましの仕掛けに騙されて逃げるなど、あり得ないことこの上ない。そもそも場所や時代の設定からしてお伽話なのだから、現実的な設定は全て排除する思い切りが必要だったと思う。余談だが、作品中の映画に登場した寺脇康文扮するタイ人の革命家の名前はワンチャイ・バンダラビカルで、確か『古畑任三郎』のスペシャル「笑うカンガルー」で登場したプーケット大学の数学者がワンチャイ・バンビラビカルという名前だったはず。この名前に何か曰くでもあるのか?