評     価  

 
       
File No. 0763  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年06月07日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   三池 崇史  
       
上 映 時 間   134分  
       
公開時コピー   ロックと物理で宇宙をつくれ!  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   市原 隼人 [as 綿貫基一/喜一]
谷村 美月 [as 瑞穂沙羅華]
松本 莉緒 [as 白鳥]
田中 幸太朗 [as 佐倉]
岩尾 望 [as 須藤]
黄川田 将也 [as 相理]
六平 直政
塩見 三省
遠藤 憲一
李 麗仙
笹野 高史
國村 隼
若村 麻由美
石田 ゆり子 [as 鳩村]
 
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あ ら す じ    双子の兄弟の綿貫基一(もとかず)喜一(よしかず)。兄の基一はロックが趣味の寿司屋のアルバイターだが、弟の喜一は大学生で、喜一は親からも目をかけられていたが基一はいつも親からさえけなされてばかりだった。ある時、喜一が突然彼女と海外に行ってしまい、基一は弟に代わって大学で代返をするハメになった。
 弟が所属する物理学のゼミにまで参加した基一は担当教授の鳩村から、出席日数の足りない学生穂積沙羅華(サラカ)をゼミに参加させるように頼まれる。17歳の帰国子女サラカは、彼女の論文を実証する設備が建設されたほどの物理学の天才少女で、大学側も持てあまし気味だったのだ。同じゼミの女学生白鳥に好意を抱いていた基一は、彼女にいい所を見せたい一心で鳩村の依頼を引き受け、早速サラカの家へと向かった。
 サラカは夥しい蔵書とコンピュータに埋もれた部屋にこもっていた。そして、いきなり基一に物理の質問をぶつけてくる。そして、ゼミのテーマについて訪ねられた基一は、苦し紛れに「宇宙をつくることはできるのか?」と答えたところ、意外にもこのテーマにサラカが反応してきた。そしてその翌日、ゼミで各自のテーマを発表しているところへ、なんとと不登校のサラカが現れた。基一は鳩村からの依頼に見事応えることができたのだ。ところが、基一の「宇宙をつくれるか」というテーマに対してゼミのメンバー皆が否定的な意見口にするのに対して、サラカが真っ向から反論を始めた。そして、OBの相理をも巻き込んで議論が起きるのを見た鳩村の発案で、基一は他のメンバー4人を相手に、サラカと2人で「宇宙をつくれる」立場でのディベートを行うハメになってしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    公開第一週は圏外デビューでさほど話題にものぼらなかった作品だけに、完璧に谷村美月目当てで観に行ったのだが、これが予想外に面白かった。前半の宇宙創生に関するディベートは、詳しい知識を持たない私にとっても非常に興味深く、観る前に襲われていた睡魔も忘れてスクリーンに没頭することができた。谷村美月が相変わらず見事な演技を見せてくれるのはもちろんのこと、市原隼人も今回は文句のつけようがなく、2人を取り巻く俳優陣も素晴らしい。独断と偏見で言わせてもらえば、同じ日に公開となった『ザ・マジックアワー』よりもこちらの作品の方が好きだし、もっとヒットして然るべき作品ではないかと思う。宇宙の創生において対称性と非対称性、あるいは陽と陰といった具合に二極一対に分化したことがディベートで語られるが、それが理論と非理論つまりは物理とロックというこの作品のテーマにさり気なく転化されている構成が見事だ。また、天才物理学者アインシュタインを唸らせたという寿司が、同じ物理の天才であるサラカを寸前で踏み止まらせたり、物理を学んだ結果寿司を極めようと基一が決意したなど、ちょっとした遊び心が満載なのも嬉しい。その辺りのウィットを解さない人間が見たならば、おそらくは楽しくも何ともない駄作に思えるかも知れない。