評     価  

 
       
File No. 0764  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年06月14日  
       
製  作  国   イギリス / カ ナ ダ / アメリカ  
       
監      督   デヴィッド・クローネンバーグ  
       
上 映 時 間   100分  
       
公開時コピー   ここでしか、生きられない。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ヴィゴ・モーテンセン [as ニコライ]
ナオミ・ワッツ [as アンナ]
ヴァンサン・カッセル [as キリル]
アーミン・ミューラー=スタール [as セミオン]
イエジー・スコリモフスキー [as ステパン]
シニード・キューザック [as ヘレン]
ミナ・E・ミナ
サラ=ジャンヌ・ラブロッセ [as タチアナ]
ドナルド・サンプター
ジョセフ・アルティン
ラザ・ジャフリー
オレルガ・フェドロ
 
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あ ら す じ    ロンドン。助産師のアンナが働く病院に、ある日身元不明の少女タチアナが運び込まれる。彼女は妊娠しており、その両腕には夥しい注射針の跡があった。分娩室に運び込まれたタチアナは女の子を出産するが、間もなく息を引き取ってしまう。アンナはタチアナの両親を探して赤ん坊を渡そうと考え、タチアナのバッグにあった日記を持ち帰った。
 タチアナの日記はロシア語で書かれていたため、アンナには意味を解することができず、伯父のステパンに翻訳を頼み、彼女は日記に挟んであったカードに書かれた“トランスシベリアン”というロシアン・レストランを訪ねた。彼女は店の前で2人の男とすれ違うが、彼らは悪名高いロシアン・マフィア“法の泥棒”の跡取りキリルと、その運転手ニコライだった。
 店の呼び鈴をアンナが押すと、現れたのは穏やかな風体の老人セミオンだった。実は彼こそは“法の泥棒”のボスだったのだが、そんなことは夢にも思わないアンナは、セミオンにタチアナの日記の話をする。セミオンは自分が日記を翻訳しようと申し出たため、アンナは後日日記のコピーを持って再び“トランスシベリアン”を訪ねることになる。
 家では日記を読んだステパンが、アンナに赤ん坊から手を引くよう忠告した。日記には“法の泥棒”が関わった「イースタン・プロミス」=人身売買や、さらには赤ん坊の父親がセミオンであることが記されていた。そして、再びセミオンと会ったアンナは、日記とタチアナの親族の居場所を交換するという、危険この上ない取引をセミオンと交わすのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ヴィゴ・モーテンセンがアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品。彼の抑えた渋い演技とヴァンサン・カッセルのイカレたチンピラぶりがいずれも見事。いいようにニコライに利用されてながらニコライを信じて慕うキリルが、悪党であるにもかかわらず滑稽であると同時に哀れに思える。そして、ナオミ・ワッツが荒涼とした作品に咲いた一輪の花のような存在(褒めすぎ?)で、彼女が登場するだけで緊張から解放される気がする。こういう作品ではヒロインの存在が大きなウエイトを占めるが、その意味では彼女のキャスティングは成功だ。とは言え、若く見えるが彼女も撮影時には既に39歳。ヒロインとしてはギリギリのラインかも。
 さすがにR-18指定の作品だけあって、喉を切り裂いたりとか指を切り落としたりとか、グロいシーンは満載だ。そして、話題になっている全裸での格闘シーンだが・・・・・あそこまでしなければならないとは、俳優って職業も楽じゃないな、と変な意味で感心させられた。まぁ、正直に言わせてもらうならば、今後は女性ならば大歓迎・・・・・というのは冗談で(ちょっとだけ本気かも)、男性にしろ女性にしろ、全裸の格闘シーンは目のやり場にも困るし、できれば遠慮したいものだ(笑)。冗談はさておき、静謐かつ重厚な造りの作品で、100分という決して長くない尺に巧く収めていると思う。賛否両論あるとは思うが、個人的にはこういう作品は決して嫌いではない。