評     価  

 
       
File No. 0769  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年06月28日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   セリーヌ・シアマ  
       
上 映 時 間   85分  
       
公開時コピー  
少女に恋した 少女の夏
はじめての 痛み
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ポーリーヌ・アキュアール [as マリー]
アデル・へネル [as フロリアーヌ]
ルイーズ・ブラシェール [as アンヌ]
ワラン・ジャッカン [as フランソワ]
 
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あ ら す じ    同級生の親友アンヌを応援するためシンクロナイズド・スイミングの競技会場へとやって来た15歳の少女マリー。彼女はそこで上級生の演技に目を奪われ、ひときわ華やかなチームのキャプテンフロリアーヌの美しさに心奪われ彼女に恋してしまう。美人で高慢で男性関係は盛んだと噂されていたフロリアーヌだが、彼女には同性の友達がいなかった。そんな彼女に近づきたい一心で、マリーはフロリアーヌの通うスイミング・クラブを訪れ、何でも言うことをきくからと頼み込んで、練習を見学することを許された。
 それからというもの、マリーはアンヌではなくフロリアーヌと行動を共にすることが多くなった。そして、次第にマリーに心を許し始めたフロリアーヌは、ある夜マリーに自宅へ来るように頼んだ。そして、さもマリーに誘われたかのように装って家を出たフロリアーヌは、マリーにある頼み事をするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    原題の“NAISSANCE DES PIEUVRES”とは直訳すると『タコの出生』。それは果たして、大人への一歩を踏み出す少女がハッキリとした形をとらない、いわば軟体動物のような存在であることを意味するのか、あるいは、タコが墨を吐くように体内からどす黒いものを排出させることを意味するのか。いずれにしても、大人への一歩を踏み出す少女たちが瑞々しく描かれているのだが、もう少し長い尺でじっくりと見せて欲しい気がした。少女たちの内面への切り込みも物足りない気がしたし、フロリアーヌがマリーを呼び出して男と会い、一体何をしていたのかも謎のままだ。シンクロというスポーツをモチーフに選んだのは絶妙で、水の上では優雅に見せる少女たちが実は水面下では必死に足で水を掻いている、その姿は彼女たちの人生の縮図にほかならない。そして、それをマリー、フロリアーヌ、そしてアンヌという三者三様の少女を通して描いたセリーヌ・シアマ監督は、本作がデビュー作とのことだ。個人的には、フロリアーヌを演じたアデル・ヘネルにすっかり目を奪われてしまったが、今年3月に開催されたフランス映画祭2008で来日した素顔の彼女はやはりずば抜けた美しさだったらしく、今更ながらにその時にお目にかかれなかったことを残念に思っている。