評     価  

 
       
File No. 0774  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年07月05日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   原田 眞人  
       
上 映 時 間   145分  
       
公開時コピー   命を追った、あの夏。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   堤 真一 [as 悠木和雄]
堺 雅人 [as 佐山達哉]
尾野 真千子 [as 玉置千鶴子]
高嶋 政宏 [as 安西耿一郎]
遠藤 憲一 [as 等々力庸平]
田口 トモロヲ [as 岸円治]
堀部 圭亮 [as 田沢善吉]
マギー [as 吉井弁次郎]
滝藤 賢一 [as 神沢周作]
皆川 猿時 [as 伊東康男]
でんでん [as 亀嶋正雄]
中村 育二 [as 粕谷隆明]
野波 麻帆 [as 黒田美波]
西田 尚美 [as 安西小百合]
小澤 征悦 [as 安西燐太郎]
螢 雪次朗 [as 追村穣]
山崎 努 [as 白河頼三]
 
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あ ら す じ    1985年8月12日。日本中が中曽根首相の靖国公式参拝の同行を見守る中、群馬県・北関東新聞の遊軍記者悠木和雄は、翌日に控えた親友安西耿一郎と谷川岳・衝立岩登頂のために退社しようとしていた。その悠木を引き留めるかのように、社内に共同通信のニュース速報が響き渡る。乗客・スタッフ524名を乗せた東京発大阪行きの日航123便が長野と群馬の県境に墜落したというのだ。
 悠木は世界最大の単独航空機事故の全権デスクを命じられたが、それは北関東新聞社のワンマン社長白河の鶴の一声によるものだった。悠木は安西との衝立岩登頂の約束が気にかかっていたが、安西の妻小百合からの連絡で、安西がくも膜下出血に倒れ意識不明の重体であることを知らされた。安西を病院に見舞った悠木は、小百合と共に父に付きそう安西の息子燐太郎の姿に、今は離れて暮らす燐太郎と同い年の自分の息子の姿を思い浮かべていた。
 翌日になり、123便は群馬県の御巣鷹山に墜落したこと、奇跡的に4名の生存者がいたことなどが明らかになっていく。そして、悠木は地域報道班の玉置から、ある重大な報告を受ける。それは、123便の墜落原因に関するもので、これを他紙に先駆けて報道すれば大スクープは間違いないネタだった。しかし、100%の確証を得られなかったために悠木は1面掲載を躊躇したその翌朝、ある全国紙が他紙に先駆けて事故原因の記事を掲載してしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    日本航空123便の墜落事故といえば、真っ先に思い浮かぶのが当時43歳という若さで散っていった坂本九さん。亡くなった方々の名前の中に大島九(おおしまひさし)という名前を見た時の衝撃は今でも覚えており、しばらくの間は坂本九さんが亡くなったというのは、夢の中での出来事にしか思えなかった。
 作品のタイトル“クラーマーズ・ハイ(CLIMBER'S HIGH)”とは、登山者の興奮状態がある一定限度を超えた時、恐怖心が麻痺してハイな状態になること。おそらくは、堤真一扮する悠木和雄と高嶋政宏扮する安西の息子の登山はもちろんのこと、1985年に日航ジャンボ機墜落という未曾有の大惨事を記事にする記者たちの興奮状態をも比喩したタイトルだと思われる。が、2007年に悠木和雄と安西燐太郎が登山をするシーンが果たして作品の構成上必要なのかが大いに疑問。ジャンボ機墜落の興奮が登山シーンで途切れる感があるのは否定できない。また、登山シーンでいきなり息子が打ったというハーケンが登場しても、だから何なんだ?としか思えない。悠木と息子の確執の描写が著しく不足しているのだ。説明不足と言えば、北関東新聞内の悠木を取り巻く人間関係、中でもストーリーにおいて重要な意味を持つと思われる部長の等々力と悠木の因縁も、結局は良くわからずじまいだった。また、北関東新聞社社長の白河とその愛人・黒川美波のエピソードもあまりに中途半端なために、白川の人間性が薄っぺらで下卑たものであることを徒に強調しただけに終わっている。ただ、欠点ばかりを挙げてはみたが、145分という長い尺にもかかわらず退屈することも眠気に襲われることもなく、ラストまで一気に見せる監督の手腕は賞賛に値するだろう。