『魔法にかけられて』でお目にかかったパトリック・デンプシー主演のラブコメとあって、それほど大きく期待を裏切ることはないだろうと思った。観てみたらたしかにその通りで、少々ハラハラさせられながらも安心して観ることが出来る作品だったが、それは裏を返せば思いもよらない大ドンデン返しはない、ラストがおおよ想像出来てしまうということにもなる。これがシリアスな大恋愛を描いた叙情詩だったらともかく、この作品はあくまでラブコメなのだから、やはり期待通りハッピーエンドで終わるに限ると思う。ちなみに、原題の“MADE OF HONOR”とは、花嫁付添人(=BRIDE MADE : 『幸せになるための27のドレス』に頻出)の中でも中心となる筆頭付添人のことで、通常は新婦と最も親しい未婚の女性の役回り。トムがコリンの親からゲイと思われた理由もその点にある。
パトリック・デンプシーの演じるトムは、私に言わせれば全男性の敵とでも言うべきとんでもないプレイボーイで、そんな男性と10年もの間親友でい続けたハンナは、よほど了見の広い女性なのか、それともトムに対して恋愛感情はまったく抱いていなかったのか。いずれにしても、現実には結婚しておかしくない年齢の男女が、互いを大切な存在と認識しながらも常に一定の距離を保った「友人」としての関係を続けることなどあり得ないだろう。とまぁ、そんな理屈を並べる輩はこの手の作品は観るべきではないだろう。何も考えずにただただ自分をトムに置き換えて観るならば、あっという間に100分が過ぎてしまい、心地良い後味が残る作品であることは請け合いだ。