評     価  

 
       
File No. 0785  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年07月19日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   タナダ ユキ  
       
上 映 時 間   121分  
       
公開時コピー   百万円貯まったら、この家を出ていきます。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   蒼井 優 [as 佐藤鈴子]
森山 未來 [as 中島亮平]
ピエール瀧 [as 佐藤春夫]
竹財 輝之助 [as ユウキ]
齋藤 隆成 [as 佐藤拓也]
笹野 高史 [as 白石]
嶋田 久作
モロ師岡
石田 太郎
キムラ 緑子
矢島 健一
斎藤 歩
堀部 圭亮
平岩 紙
江口 のりこ
悠城 早矢
弓削 智久
佐々木 すみ江 [as 藤井絹]
 
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あ ら す じ    21歳のフリーター佐藤鈴子は、ルームシェアしていた相手が鈴子の拾った猫を勝手に捨てたことに腹を立て、仕返しに相手の荷物を全て捨ててしまう。相手から刑事告訴を受けてしまった鈴子は、拘置所に入れられ20万円の罰金刑に処せられた。家に帰っても弟拓也からは非難され実家にも居づらくなり、「百万円貯まったら出て行きます。もう誰にも迷惑はかけません」と宣言してしまう。以来、バイトを掛け持ちして働いた鈴子はついに百万円を貯めると、宣言通り家を出て、誰も自分を知る者がいない場所へと旅立つのだった。
 最初に訪れたのは海辺の町で、鈴子は海の家の臨時手伝いのバイトをすることになった。ところが、客のひとりが鈴子に興味をもち、しきりにアプローチを仕掛けてくる。関わり合いになりたくない鈴子は、早々に再び百万円を貯めると、今度は山を目指してバスに乗った。
 バスを降りて偶然に立ち寄った喫茶店で、マスターの白石からうってつけのバイトを紹介してもらった鈴子は、早速住み込みで農家の仕事を手伝うことになる。季節はちょうど桃の収穫時期で、鈴子は井絹春夫の藤井親子と共に、ただひたすら桃をもぐ毎日が始まった。ところが、村長の思いつきで村のキャンペーンガール“桃娘”に祭り上げられそうになった鈴子は、村人が集まる前で自分には前科があることを告白せざるを得なくなり、村にこれ以上いることができなくなってしまった。
 鈴子の次の行き先は、東京から1時間ほどの地方都市だった。ホームセンターのバイトをすることとなった鈴子は、そこで働く同い年の先輩で大学生の中島亮平に好意を抱く。そして、思わぬきっかけで意中の中島から告白された鈴子は、中島と付き合うことになった。けれども、100万円を貯めたらまた鈴子が次の場所へ行ってしまう、そう危惧して中島がとった行動が裏目に出てしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    前回『人のセックスを笑うな』を観たシネセゾン渋谷で、前回と同じく完全に満席状態の公開2日目午後一番の回。この劇場、スクリーンの収容キャパの割にロビーが狭すぎるのがどうも気になる。
 タナダユキの監督作は『赤い文化住宅の初子』しか観たことはないが、正直あまり好きな作品とは言い難く、彼女が脚本を書いた『さくらん』も同様で、今回は蒼井優が主演という点に釣られてついつい観てしまった。そして、★を9個付けたことからもわかる通り、これが結構面白かった。人付き合いが苦手な鈴子を演じる蒼井優が素晴らしく、鈴子の心の動きが手に取るように伝わってくる。農村でのエピソードでは、ちょっとした自分たちの力で何とかしようとせず、他力本願で村おこしをしようなどという安易な村人を風刺するような一面もあって面白い。以前よりもちょっと痩せたように見えた蒼井優、もう少しふっくらしていた方が個人的にはいいと思うのだが。また、個人的にはあまり好きな役者ではないが、森山未來も重要な役柄を演じて作品を引き立てる役割を充分に果たしている。ただ、鈴子が東京を出るまでの描写が徒に冗長であるように感じてしまい、睡眠不足もあって最初のうちは睡魔に襲われてしまったが。