評     価  

 
       
File No. 0796  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年07月26日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   廣木 隆一  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   たとえいなくなったとしても、一生忘れない友だちが、一人、いればいい  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   石橋 杏奈 [as 恵美]
北浦 愛 [as 由香]
吉高 由里子 [as ハナ]
福士 誠治 [as 中原]
森田 直幸 [as ブン]
柄本 時生 [as 佐藤]
華恵 [as 琴乃]
中村 麻美
大森 南朋
柄本 明
田口 トモロヲ [as 由香の父]
宮崎 美子 [as 由香の母]
 
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あ ら す じ    20歳の恵美は、山梨のフリースクールでボランティアをしていた。写真を撮るのが好きで、スクールの壁には一面に恵美が撮った雲の写真が貼られていた。ある日、取材に訪れたジャーナリストの中原は、子供たちが恵美を「もこちゃん先生」と呼ぶのを聞き、その意味を恵美に尋ねた。恵美は、かつてかけがえのない友だちが言った「もこもこ雲」の話を皮切りに、子供の頃の話を始めるのだった。
 交通事故の後遺症が脚に残り、松葉杖なしで歩けなかった小学生の恵美は、学校でも周囲に壁を作って生きていた。そんな恵美はある出来事をきっかけに、やはりクラスで浮いてしまいがちなおっとりとした少女由香と仲良くなる。由香は腎臓が悪いために汗をかくような運動ができず、学校も休みがちだった。学校でもみんなの輪の中へ入っていけない2人は、互いに引き合うように仲良くなり次第に絆を深めていく。そして、由香が言った言葉が、「恵美ちゃんはもこもこ雲なんだよ」だった。
 中学に入ると、由香の体調は徐々に悪化していく。授業中具合が悪くなった由香は、保健室で隣のベッドに休んでいたハナと言葉を交わす。ハナは由香と恵美の深い絆を知り、衝撃を受ける。彼女が親友だと思っていた友だちは、彼氏ができて自分との付き合いをお座なりにするようになったことに悩んでいたのだ。そして、恵美が高校受験を間近に控えたある日、ついに由香は恵美を残してひとり旅立ってしまった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    う〜ん、これは少し勿体ない気がするなぁ。原作を読んだことはないが、おそらくは素晴らしい小説なのではないかと想像できる。そして、作り方次第ではこの作品も間違いなく名作と呼べる作品に仕上がっていただろうと思われる。それだけに、あまりに種々のエピソードを詰め込んでしまった感があって、いまひとつ盛り上がりに欠けているのが残念だ。
 例えば、主人公恵美の弟ブンの先輩佐藤のエピソード。私は柄本明も柄本佑も柄本時生も嫌いだが、それだから言っているワケでは決してなくて、本筋との関わり合いが希薄で作品全体に与えるインパクトも感じられない。映画は小説と異なり、約2時間の尺の中ですべてを伝えなければならないから、であるならば枝葉末節は思い切って割愛して、メインとなる恵美と由香を描くことにもっと時間を割くべきだと思うのだ。
 観終えた後に、「友だち」とは自分にとって一体何なのかを、改めて考えさせられる。そして、残念ながら自分には恵美と由香のような唯一無二の深い絆で結ばれた友だちはいないことを痛感した。ハナの「友だちがたくさんいた方が楽しいでしょう?」という問いかけに対して由香が言った言葉「私は恵美ちゃんとたくさんいる方がいい」、そして、由香が恵美に言った「ずっと一緒にいていい?私、途中でいなくなっちゃうかもしれないけど。想い出たくさん残って死んじゃうといやかもしれなけど。」という言葉、この2つの言葉はおそらく忘れることができないであろうほど強く印象に残っている。