評 価
File No.
0811
製作年 / 公開日
2008年 / 2008年08月23日
製 作 国
日 本
監 督
中原 俊
上 映 時 間
109分
公開時コピー
とっておきのハ・ナ・シをお聞かせします。
女落語家と異端の師匠が挑む、一世一代の大勝負!笑いと感動、これぞ落語エンタテインメントの真骨頂!
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
最初に観たメディア
Theater
Television
Video
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト
ミムラ
[as 三々亭香須美]
津川 雅彦
[as 三々亭平佐]
益岡 徹
[as 三松家柿紅]
伊藤 かずえ
[as 古閑由加里]
森本 亮治
[as 清水和也]
絵沢 萌子
[as 石田登志子]
利重 剛
[as 藤崎秀行]
なぎら 健壱
[as 寄席の常連]
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ
癌を宣告された叔父のために12歳の時に演じた落語がきっかけで落語界に身を投じ、二つ目昇進を目指して奮闘する女前座の
三々亭香須美
。そんな彼女の最大の悩みの種は、師匠である
三々亭香平佐
だった。香須美に一度も稽古をつけてくれないばかりか、その無軌道な素行のあまり無期限謹慎を食らってしまい、今では遊び代も弟子に押しつけるていたらくだったのだ。
そんな香須美はある日、大学時代の落研の後輩で今はスポーツ紙の記者をしている
清水
と再会する。清水は香須美に、禁断の落語と言われ40年もの間封印されていた「緋扇長屋」に平佐が挑もうとしているという噂を聞いたという。「緋扇長屋」は作者が執筆直後に謎の死を遂げたのを皮切りに、その後立て続けに演じた噺家たちが急死したために、誰一人として高座にかけなくなったという因縁つきの話だった。
「緋扇長屋」を平佐に仕掛けたのは、テレビ局のプロデューサー
古閑由加里
で、彼女は挑戦の一部始終をスペシャル番組にすることを企画していた。しかし、当の平佐はそんなことはどこ吹く風と一向に気にかけず、反対する香須美を連れて現在の「緋扇長屋」の所有者である未亡人
登志子
を訪ねるのだった・・・・・。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント
主演のミムラが悪いわけではない。むしろ、彼女はいい演技を見せてくれていると思う。また、作品のストーリーもつまらないわけではない。ただ、平佐の「緋扇長屋」の語りの部分がやたらと長過ぎたのはマイナス点だと思う。そのためもあって、どうあがいても津川雅彦の老獪で年季を重ねた演技の前ではミムラが霞んでしまう。私にはこの作品はミムラ扮する三々亭香須美の眼から見た、津川雅彦扮する三々亭香平佐という落語家の一世一代の勝負を描いた作品以外の何物でもなかった。
同じ落語をモチーフにした作品で記憶に新しいのは『しゃべれども しゃべれども』があるが、『しゃべれども』の方がよりテーマが明快で、ちょっぴり恋愛のエッセンスも伴って、加えて脇を固めるキャストも良く、素直に面白いと言える作品だった。しかし、今回の『落語娘』の場合は筆頭にも書いた通りミムラに対して津川雅彦を持ってきたのがキャスティング・ミスだとしか思えない。案の定、作品は津川の独壇場で、ミムラの存在感など消し飛んでしまっている。その結果、作品のテーマが一体何だったのか、わからないままに終わってしまった感があった。実は、私はミムラの演技を観るのはこれが初めてだったのだが、女優としての彼女をどう評価していいかもわからないまま、記憶の彼方へと消えていってしまいそうな、そんな作品だった。