評     価  

 
       
File No. 0813  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年08月30日  
       
製  作  国   アメリカ / ド イ ツ / イタリア / フランス
/ ルーマニア
 
       
監      督   フランシス・F・コッポラ  
       
上 映 時 間   124分  
       
公開時コピー   その魂は不滅。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ティム・ロス [as ドミニク・マテイ]
アレクサンドリア・マリア・ララ [as ヴェロニカ/ラウラ]
ブルーノ・ガンツ [as スタンチュレスク教授]
アンドレ・ヘンニック [as ルードルフ博士]
マーセル・ユーレス [as トゥッチ博士]
アレクサンドラ・ピリチ [as 6号室の女性]
エイドリアン・ピンティー [as 学問僧]
アナマリア・マリンカ [as フロントの女性]
 
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あ ら す じ    1938年のルーマニア。復活祭の夜に、年老いた言語学者ドミニク・マテイはブカレスト北駅に降り立った。かつて最愛の女性ラウラと別れて以来研究に没頭してきたものの、残りわずかな余生では研究を全うできないことに絶望視、誰も知る者のいないこの地で自殺するつもりだった。ところが、突然の雷雨の中落雷の直撃を受けたドミニクは、瀕死の重傷を負いながらも奇跡的に一名をとりとめるのだった。
 ドミニクの体には異変が起きていた。その回復力は驚異的で、主治医のスタンチュレスク教授もドミニクを興味深い対象として見守っていた。そして、10週間後にすっかり回復したドミニクの肉体は30〜40代にまで若返っており、しかも知的能力が驚異的に増大していた。そして、短期間に様々な言語を習得していくドミニクは、今やヒトラーからさえ強い関心を持たれるようになった。ドミニクはゲシュタポから逃れるために偽名を手に入れ、スイスのジュネーブに亡命する。
 大戦後。スイスの山中で、ドミニクは女性2人の乗った車から道を尋ねられ動揺する。助手席に乗っていた女性ヴェロニカが、かつての恋人ラウラに瓜二つだったためだ。そして、嵐が来るとのドミニクの制止を聞かずに走り去った車は、落雷に遭ってしまう。運転していた女性は即死だったが、助かった助手席のヴェロニカはショックから記憶喪失に陥っており、何故か知っているはずのないサンスクリット語を話すようになっていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    う〜ん、どう評価していいんだか、実に微妙だ。前編に漂う幻想的な雰囲気は悪くない。ただ、その雰囲気に飲まれることなく冷静に観てしまうと、どうしても粗が見えてしまう。ドミニクが若返ったのが1938年で、それから20年近くの間にヴェロニカと出会い、別れ、故郷に戻ってきたら急激に本来の年齢に戻ってしまう。ここまではいいとして、彼が亡くなったのが1938年だというのはどういうことなのか、全く筋の通る理由が考えられない。
 そして、同じく落雷に遭って古代の言語を次々と話すようになったヴェロニカの容姿が、実年齢よりもどんどんと老いていくのも不思議なのだが、その原因がドミニクと一緒にいるからだという結論は一体どこからくるのか。「幻想的」と「ワケがわからない」のとを混同してはいけない。また、クライマックスシーンも今ひとつ盛り上がりに欠ける気がする。人間にとって最大の恐怖は「死」であって、老いることは死に直結するからこそ恐ろしい。だが、その恐ろしさをドミニクなりヴェロニカなりが切実に感じている様子が、観る者に伝わってこないのがなんとも残念だ。