評 価
File No.
0814
製作年 / 公開日
2007年 / 2008年08月16日
製 作 国
イギリス / イタリア / ド イ ツ / スペイン
監 督
ケン・ローチ
上 映 時 間
96分
公開時コピー
幸せに、なるために
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
カーストン・ウェアリング
[as アンジー]
ジュリエット・エリス
[as ローズ]
レズワフ・ジュリック
[as カロル]
ジョー・シフリート
[as ジェイミー]
コリン・コフリン
[as ジェフ]
レイモンド・マーンズ
[as アンディ]
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あ ら す じ
30代半ばのシングル・マザーの
アンジー
は、借金を返済して両親に預けた一人息子と一緒に暮らすことを目標に、職業紹介所で働いていた。ところがある日、アンジーは理不尽な理由で仕事を解雇されてしまう。思案の末に、アンジーはルムーメイトの
ローズ
と2人で、自分たちが職業紹介所を起業するのだった。
アンジーの持ち前のパワーとローズのアイデアが相俟って、事業は早々と軌道に乗り儲けを生むようになる。ところが、さらに上を目指すアンジーは、不法移民を働かせる方がより利益が大きいことを知る。そして、彼らに部屋を紹介し、その部屋代からも儲けを得ることによって、2人の事業はさらなる利益を生むようになっていく。ところが、彼女が紹介した働き先が倒産し、賃金の不払いが生じてしまう。そして、無賃労働を強いられた不法移民たちの不満は募り、やがてある事件を引き起こすことになる・・・・・。
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たぴおか的コメント
『麦の穂をゆらす風』でカンヌ映画祭・パルムドールに輝いた名匠ケン・ローチの監督作品。タイトル『この自由な世界で』が意味する「自由」とは、一体何なのか?金持ちになり、欲しい物が何でも手に入ることが自由なのか?誰からの命令も受けず、思いのままに仕事ができることが自由なのか?そもそも、この作品の「自由な世界」というタイトル自体に痛烈な皮肉が感じられる。
有産階級と無産階級すなわち搾取する側と搾取される側の対立は資本主義社会における本質的な問題であることは言うまでもない。そして、常に有産階級であり搾取する側の立場が圧倒的に強い。であるならば、強者の立場に立ってみたいと思うのは自然であり、主人公のアンジーは弱者から強者に転じたのだ。そして、いともたやすく移民労働者から搾取できることを知った彼女は、底の知れない泥沼へと引きずり込まれていく。あたかも共産主義を信奉するかのような、痛烈な資本主義社会体制への批判が感じられるシニカルな描写が秀逸で、その辺りがケン・ローチが名匠と讃えられる所以なのだろう。