評     価  

 
       
File No. 0821  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年09月13日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   滝田 洋二郎  
       
上 映 時 間   130分  
       
公開時コピー   キレイになって、
逝ってらっしゃい。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   本木 雅弘 [as 小林大悟]
広末 涼子 [as 小林美香]
山崎 努 [as 佐々木生栄]
余 貴美子 [as 上村百合子]
吉行 和子 [as 山下ツヤ子]
笹野 高史 [as 平田正吉]
杉本 哲太 [as 山下]
峰岸 徹 [as 大悟の父]
 
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あ ら す じ    交響楽団でチェロを演奏する小林大悟は、自分の才能の限界を感じていた矢先に、楽団が解散となり職を失ってしまう。大悟は妻の美香に、自分の実家がある山形へ帰りたいと持ちかけたところ、美香は喜んで賛成してくれる。こうして、大悟と美香は東京を離れて、大悟の母が遺してくれた家に移り住むこととなった。
 山形で職を探すこととなった大悟は、ある日「年齢・経験不問、実働時間わずか、高給保証。旅のお手伝い。NKエージェント」という求人広告に目が留まり、早速NKエージェント社を訪ねてみる。事務員らしい女性上村の応対を受けしばし待たされた後、帰社した社長の佐々木は大悟の履歴書には目もくれず、いきなり「採用。給料はこれだけ」と片手を拡げて見せた。
 「5万ですか?」と訝しがる大悟に、「50。少ない?」と平然と言ってのける佐々木はに、大悟は仕事の内容を尋ねる。すると、佐々木は求人広告が誤植だと言い、ペンで「安らかな旅立ちのお手伝い」と修正した。ようやくわかった業務内容は遺体を棺に納めることで、NKとは納棺の略だったのだ。そして、佐々木は今日の分だと財布から数万円を抜き取って大悟に渡すのだった。
 納棺師が新しい仕事だと美香に言えない大悟は、ただ冠婚葬祭関係と言って言葉を濁す。そして翌日いきなり舞い込んだ初仕事は、死後2週間が経過して発見されたという老婆の遺体が相手だった。とてもこんな仕事は続けられないと大悟は佐々木に訴えるが、佐々木の執り行う納棺の仕事を見て、遺族のと死者との間の繋がりを知るにつれ、次第にその考え方が変わっていく。ところが、ついに美香に大悟の仕事がバレてしまい、怒った美香は大悟が転職したら連絡してと吐き捨てて実家に帰ってしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先のモントリオール国際映画祭でグランプリを受賞し、さらには中国最大のアカデミー賞とでもいうべき中国金鶏百花映画祭でも外国語映画部門において作品・監督・男優の3冠を獲得した作品。確かに、素朴で暖かみのある佳作ではある。中盤からすすり泣きが場内の随所で始まり、TVCMで女性が泣いていたのも決して大袈裟ではないと実感した。が、先に観た『パコと魔法の絵本』では不覚にも涙してしまったにもかかわらず、この作品で泣くという感覚を理解できなかったのも事実だ。
 納棺師という職業を通じて、親子の絆や夫婦愛といった人間関係を描いているのはいい。だが、本木雅弘扮する大悟と父親の確執が今ひとつ伝わってこないのが弱い。そのため、ラストでの父親との再会でクライマックスを迎えるにもかかわらず、盛り上がりもないままに「え?これで終わり?」と何とも中途半端に思えた。また、最終的に広末涼子扮する美香が大悟の納棺師という仕事に納得したのか否か、ハッキリとは描かれていないのも物足りない。父の納棺の儀を執り行う大悟に向けた美香の笑顔が、果たして完全に夫の仕事を理解し認めた上での納得した笑顔だったのか、それとも半ば諦めも入った笑顔だったのか。私は前者だと思いたいのだが、そう断言する自信が持てないのだ。