評     価  

 
       
File No. 0827  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年09月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   北野 武  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   スキ、だけど。スキ、だから。
夢を追いかける夫婦の物語。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ビートたけし [as 倉持真知寿]
樋口 可南子 [as 幸子]
柳 憂怜 [as 青年時代の真知寿]
麻生 久美子 [as 青年時代の幸子]
中尾 彬 [as 倉持利助]
伊武 雅刀 [as 菊田昭雄]
大杉 漣 [as 倉持富輔]
筒井 真理子 [as 倉持春]
吉岡 澪皇 [as 少年時代の真知寿]
円城寺 あや [as 富輔の妻]
徳永 えり [as 倉持マリ]
大森 南朋 [as 画商]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    銀行と養蚕工場を経営する父倉持利助のもと、裕福な家庭で生まれ育った真知寿は、画家になることを夢見ていた。ところがある日、蚕の全滅がきっかけで破産に追いやられた利助が自殺してしまい、母は真知寿を叔父富輔夫婦に預けて姿を消してしまう。必ず真知寿を迎えに来ると言い残して。ところが、春もまた投身自殺をしてしまい、残された真知寿は画家になる夢にすがって生きていくしかなくなった。
 青年になった真知寿は、印刷工場で働きながら美術学校に通っていた。絵を描くことしかしらない純朴な真知寿だったが、そんな彼に同じ工場で働く幸子は思いを寄せていた。やがて真知寿と幸子は結婚し、夫婦で真知寿の画家になる夢に向かって進むこととなった。
 昼は働きに出て夜は真知寿の創作に協力する幸子の苦労も虚しく、真知寿の絵は相変わらず全く評価されなかった。夫婦の創作活動はエスカレートしていき、商店街のシャッターに絵を描いて警察沙汰になった挙げ句、娘のマリは両親に愛想を尽かして家を出て行ってしまう。そしてついに、それまで文句一つ言わずに真知寿に連れ添ってきた幸子までもが、真知寿の夢についていけないと別れを切り出すのだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    タイトルとなった『アキレスと亀』は、有名なギリシア時代の詭弁のひとつで、「アキレスが亀を追いかけたとして、アキレスが亀がいた場所に着いた時亀は必ずその先に進んでいる、これを無限に繰り返すことになり、アキレスは亀を追い越せない」というもの。
 実は、北野作品は劇場はもちろんのこと、ビデオやDVDでも観たことがなく、これが初めての対面となった。が・・・・・どうやら、これが北野作品を観る最初で最後になりそうな気がする。少なくともこの作品を観る限りでは、北野作品が海外であれほど高い評価を得ているのが全く理解不能だ。
 この作品、実はコメディらしいのだが、笑えるシーンがほとんどない。まず、人があまりにも死にすぎるのがよろしくない。父の首吊りに母の投身自殺、美術学校仲間の事故死や飛び降り自殺。はては、街中で遭遇した自動車事故と、あれほどまでに人を死なせる必要があるのだろうか。加えて、全身白ずくめの妻・幸子を、ペンキを塗ったグローブを着けたボビー・オロゴンに殴らせるシーンなど、度が過ぎて笑うどころか不愉快以外の何物でもなかった。
 以前私は、『大日本人』で松本人志をさんざんこき下ろしたが、どうやら悪ふざけが過ぎるのは彼だけではなかったようだ。「笑いのセンスの違い」だけでは片付けることができない、大きな隔たりを感じた作品だった。