評     価  

 
       
File No. 0836  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年10月04日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   西谷 弘  
       
上 映 時 間   128分  
       
公開時コピー   その謎を、愛そう。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   福山 雅治 [as 湯川学]
柴咲 コウ [as 内海薫]
北村 一輝 [as 草薙俊平]
ダンカン [as 工藤邦明]
長塚 圭史 [as 富樫慎二]
金澤 美穂 [as 花岡美里]
渡辺 いっけい [as 栗林宏美]
品川 祐 [as 弓削志郎]
真矢 みき [as 城ノ内桜子]
松雪 泰子 [as 花岡靖子]
堤 真一 [as 石神哲哉]
 
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あ ら す じ    顔が潰されて指紋を焼かれ、衣服も燃やされた身元不明の男性の絞殺死体が発見された。幸い被害者が乗り捨てたと思われる自転車から指紋が検出され、その男が宿泊していた宿から採取された毛髪のDNA鑑定から、被害者は無職の富樫慎二であることが判明した。貝塚北署の刑事内海薫は、本庁の先輩刑事草薙と共に捜査を開始し、被害者の元妻・花岡靖子に目を付ける。しかし、彼女には完璧なまでのアリバイがあったために捜査は行き詰まり、内海たちは再び帝都大の物理学准教授湯川学に協力を依頼した。
 湯川は物理学とは全く無関係に思われる事件に対して何ら興味を示さずに内海の依頼を断ろうとするが、花岡靖子の隣人の名を聞いて一転事件興味を示す。その隣人の名は石神哲哉、湯川とは大学時代の同期生で、湯川が唯一天才と認める数学者だった。そして、石神が靖子に対して恋していることに気づいた湯川は、石神が靖子の犯した殺人のアリバイ工作を行ったのではないかという疑いを抱くのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ご存じ月9で放映されたTVシリーズ『ガリレオ』のスペシャル版。ドラマは全て欠かさず観てはいたものの、それほどずば抜けて面白いとも思えなかったが、この劇場版は違った。例えば、TVシリーズでは謎解きの前に必ず行われた、福山雅治扮する湯川の数式の殴り書き。あれはハッキリ言って全く無意味で、単なるお約束の象徴的行為にしか思えなかったが、この劇場版ではそれが見られなかった。お約束の行動を割愛する場合、それが吉と出るか凶と出るかは一種の賭になるだろうが、この場合は無駄を省いた感があって非常にスッキリしていいと思う。
 また、ドラマでは時間枠の制限もあってか、機械的なトリックの解明に重点が置かれていたが、今回は心理的な大きなトリックが仕掛けてあり、謎が解き明かされた時には思わず感嘆の拍手をしたくなった。ここまで本格的な推理を味わえるとは、おそらくは原作である東野圭吾著の同名小説がいかに緻密に作り上げられているかという証左だろう。とにかく、観る前まではかなり批判的な目で粗探しでもするかのようなつもりで臨んだのだが、ケチを付けたくなるような点も見あたらず、それどころか批判的な態度すらすっかり忘れて夢中になってしまっていた。
 いつもより人間的な湯川に、思ったよりも出しゃばらなかった柴咲コウ扮する内海刑事、『デトロイト・メタル・シティ』とは180度正反対とも言っていい花岡靖子を演じた松雪泰子、そして、人生を半ば放棄した天才数学者・石神を演じた堤真一と、それぞれが与えられた役割を完璧にこなしているのがいい。湯川の言葉を借りれば、久しぶりに「実に面白い」作品に遭遇した気がする。おそらくは再度劇場で観ることになるであろう秀作だ。