評     価  

 
       
File No. 0844  
       
製作年 / 公開日   2006年 / 2008年10月18日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   グレゴリー・ナヴァ  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   5000人の少女の悲鳴を
掻き消したのは、
砂漠か?国家か
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ジェニファー・ロペス [as ローレン]
アントニオ・バンデラス [as ディアス]
マヤ・サパタ [as エバ]
マーティン・シーン [as ジョージ・モーガン]
ファン・ディエゴ・ボト
ソニア・ブラガ
フアネス
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    シカゴの新聞社で働く敏腕女性記者ローレンはある日、上司モーガンからメキシコとアメリカの国境の街シウダ・フアレスで起こっている連続女性殺害事件の取材を命じられる。気乗りしないローレンだったが、海外特派員への昇進を交換条件にして、メキシコへと旅立った。フアレスに着いたローレンは、以前にコンビを組んだことのあるディアスが経営する新聞社エル・ソロを訪ねる。ディアスとの再会を喜ぶのも束の間、現地の警察がエル・ソロ社に押し入ってくる。汚職にまみれた警察や政治家が支配するメキシコでは情報操作も日常茶飯事で、メディアはなかなか真実を報道できないのだったった。そんな中で、ディアスのエル・ソロ社だけが度重なる弾圧にも負けずに真実を報道しようとするのだが、それでも今回のような当局の圧力などで廃刊の危機に晒されていた。
 ディアスと警察の押し問答の騒ぎの中、ローレンは、エル・ソロ社を訪ねてきた少女エバと出会う。一連の事件の被害者で奇跡的に生還したエバは、真実を報道してくれるのはエル・ソロ社しかないと、助けを求めにディアスを訪ねてきたのだった。彼女が証言者になると直感したローレンは、エバと行動を共にして真相究明の糸口をつかもうとする。エバの口から聞かされた残虐な事実に、ローレンは同じ女性として、そしてジャーナリストとして真実を暴こうと決意する。犯人たちの顔を記憶しているというエバと共に、危険と隣合わせの中、暴行現場を辿るローレン。彼女たちは遂に真犯人を特定し、さらにはディアスの援護もあり、犯人を捕まえることに成功する。
 ローレンはシカゴに戻り、新聞の一面を飾ることでこの酷い事件を世界に発信しようとした。ところが、上層部から圧力がかかり記事の掲載を止められてしまう。真実を知りすぎてしまったローレンは、自分の力で何とか報道してみせると、独りで再びフアレスを訪れるが・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    1993年から2008年までの15年間で、メキシコで起きた500件にも及ぶ女性殺害事件をモチーフに描かれた作品。作品中でもバンデラスの台詞を通して語られている通り、500件というのは警察が公式に認めた数字であって、闇に葬られた事件はその10倍の5,000件にも昇ると推定されているとのことだ。
 とはいうものの、ジェニファー・ロペスという女優は正直積極的には好きになれない女優である上に、共演がアントニオ・バンデラスというこれまたあまり好ましくない俳優ということで、観る前はちょっと心配だったのだが、いざ始まってみるとそんなことは完全に忘れ、あっという間に2時間近くが過ぎ去っていた。ジェニファー・ロペスは出演の依頼を受けると、内容に共感して自らプロデューサーとしても参加したとのことで、2007年に人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルによって選ばれるアーティスト・フォー・アムネスティ・アワードを受賞しているとのことだ。
 映像は徒に技巧に走ることもなく、観ていて非常に理解しやすい構成になっているのが有り難い。そして、エバに扮するマヤ・サパタの恐怖に怯える演技が実に自然で、実際の被害者が演じているかのような錯覚に陥るほどだ。そして、バンデラス扮するディアス以外は誰を信じていいのか解らないようなメキシコで、孤立無援ながらもエバを守って孤軍奮闘するローレンをついつい応援したくなる。久しぶりに正統派の骨太な作品に出会った気がした。