評     価  

 
       
File No. 0848  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年10月25日  
       
製  作  国   イギリス / アメリカ  
       
監      督   ジャスティン・チャドウィック  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   愛は、分けられない。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ナタリー・ポートマン [as アン・ブーリン]
スカーレット・ヨハンソン [as メアリー・ブーリン]
エリック・バナ [as ヘンリー8世]
デヴィド・モリッシー [as トーマス・ハワード/ノーフォーク公爵]
クリスティン・スコット・トーマス [as レディ・エリザベス・ブーリン]
ジム・スタージェス [as ジョージ・ブーリン]
マーク・ライアンス [as トーマス・ブーリン卿]
エディ・レッドメイン [as ウィリアム・スタフォード]
ベネディクト・カンバーバッチ [as ウィリアム・ケアリー]
オリバー・コールマン [as ヘンリー・パーシー]
 
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あ ら す じ    16世紀のイングランド。特権階級や果ては王族に至るまで、政略結婚が当たり前に行われていた時代。アンメアリー、2人の美しい娘のいるブーリン家に縁談が持ち込まれる。相手は裕福な商家ケアリー家のだった。姉妹の父トーマス・ブーリン卿は、姉のアンには貴族との政略結婚を考えていたために、妹のメアリーをウィリアムに嫁がせるのだった。
 時のイングランド国王ヘンリー8世と王妃キャサリンの間に子供は王女ひとりしかおらず、高齢のキャサリンとでは世継ぎである男子を授かることはできないと諦めかけていた。その王が鹿狩りのためにブーリン家に2日間滞在することが決まり、ブーリン卿はアンを王に差し出す決意をし、アンも父の意向に従って王に気に入られるように振る舞う。ところが、皮肉なことに王の心を射止めたのは、アンよりも気だてが良く愛らしい新婚のメアリーだった。
 ヘンリーが自分ではなく妹のメアリーを選んだことで、アンはメアリーに対して嫉妬を抱くようになる。さらに、アンが許されない相手と勝手に結婚したことを心配して、メアリーはそのことを家族に報告するがこれが完全に裏目に出る。両親はスキャンダルが露呈する前にアンをフランスへと追放したため、メアリーの言動をすべて悪意に解釈してしまうアンは、妹に対して根強い敵意と恨みを抱くようになる。
 一方、王の寵愛を受けたメアリーはついにヘンリーの子供を身籠もる。ところが、体調を崩してベッドに伏せりがちになったメアリーに対し、ヘンリーは次第に興味を失っていく。そして、それはやがてアンの身に起こる悲劇への序章でもあった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ナタリー・ポートマン&スカーレット・ヨハンソンという2大女優の競演が何と言っても見所。実年齢もナタリー・ポートマンが3つ上で、しかもアンとメアリーという姉妹の性格も2人にピッタリだと思う。理知的だが計算高いアンにナタリー・ポートマン、お金や地位よりも愛を求めたメアリーにスカーレット・ヨハンソン。まさに配役の妙だと言える。それに対して、ヘンリー8世を演じたエリック・バナが、今ひとつ威厳にも冷酷さにも欠けるのが残念。
 また、当時のイングランド王宮があれほど質素で地味だったとは、まったく予想外だった。思うに、その時代の王宮といえば、真っ先に頭に浮かぶのがマリー・アントワネットが贅を尽くしたあのベルサイユ宮殿であることが、その理由だと思う。それに加えて、全体的に宮殿内が薄暗いのも、貧相さを感じてしまった原因であることは否定できない。威厳に欠ける王と薄暗くて華麗さを感じられない宮殿、そのためにそこが王宮ではなく単なる一貴族の屋敷であるかのような感覚から抜け出すことができなかった。
 そして、観る前から気になっていたのが、作品の原題が“THE OTHER BOLEYN GIRL”であること。当然、歴史的に見ても主役は姉のアンであることは明らかだから、原題でいう「その他のブーリンの女性」というのはメアリーを指しているはず。つまりは、ヘンリー8世の王妃となり、エリザベス1世を産んだアンという女性の影にあったメアリーがメインで描かれているのではないかと思う。斬首の刑に処せられて短い生涯を終えた悲劇のアンではなく、王から冷酷な仕打ちを受けながらも、幸せに天寿を全うしたメアリーのストーリーを観てみたい気がする。