評     価  

 
       
File No. 0851  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年10月25日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   古厩 智之  
       
上 映 時 間   116分  
       
公開時コピー   「解散!!」その一言で始まった
人生で最高の夏休み。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   小池 徹平 [as 田村裕]
西野 亮廣 [as 田村研一]
池脇 千鶴 [as 田村幸子]
古手川 祐子 [as 田村京子]
イッセー尾形 [as 田村一朗]
宇崎 竜童 [as 川井正光]
黒谷 友香 [as 工藤夏美]
いしだ あゆみ [as 西村スミ子]
田中 裕子 [as 川井道代]
 
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あ ら す じ    中学3年の“たむちん”こと田村裕は、いつもクラスメイトを笑わせる明るい少年だった。夏休みの前日には前から気になっていた同級生の女の子から映画に誘われ、最高の夏休みが始まるかと思われた。しかし、この夏休みにとんでもない運命が待ち構えていることを、裕は帰宅して思い知らされるのだった。
 アパートの前にはなぜか裕の家の家具が並べられており、ドアには“差し押さえ”と書かれた黄色テープが貼られていた。そこへ帰宅した姉の幸子は、ドアの鍵を開けて中に入ろうとするがなぜか鍵が合わず、理由もわからずにただ途方に暮れるしかなかった。そしてそれは、続いて帰ってきた兄の研一も同様であった。やがて、自転車に乗って父・一朗が3人の前に現れる。一朗は3人の子供たちに向かって、信じられない言葉を口にした。
 「誠に残念ではございますが、家の方には入れなくなりました。これからは各々頑張って生きてください・・・・ハイ、解散!」。そして、一朗は事態を把握できずに呆気にとられる裕たちを残して、自転車で逃げるように消えてしまったのだった。
 一朗が借金をしまくったために親戚とは疎遠になってしまっていた田村家。気がつけば、3人には今夜泊まる場所すらなかった。ただうろたえるばかりの兄と姉を前に、裕は自分は一人で大丈夫だと見栄を張って一人駆け去った。そして、裕は夜の公園の巨大なうんこのような滑り台(通称巻きフン)をねぐらにすることに決めた。こうして、裕のサバイバル生活は幕を開けるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    実は、同日に公開された単館系の作品『ホームレスは中学生』の方が面白そうだと思っていたため、全く期待せずに観た作品なのだが、結果は予想通りだったと言える。本当に地面に映えている草や段ボールを食べたりしたという、小池徹平の「そこまでやるか?」的な熱演は認めるものの、いくら童顔とはいえ彼が中学生というのはさすがに無理がある。そして、姉・幸子役の池脇千鶴の演技はもともと定評があるが、兄・研一を演じた西野亮廣が思った以上にいい演技を見せてくれたのは良かった。
 作品自体は、申し訳ないが「感動」には至らないと思う。この手の作品では、あの野球漫画の巨匠・水島新司の『銭っ子』の方が断然上で、「お金」というものの本質にまで迫る名作だったと思っている。書店で立ち読みしながらも、ラストでは思わず目頭が熱くなったことをハッキリと覚えている。主人公を取り巻く大人たち、特に親友の両親である川井夫妻や民生委員の西村さんが本当に「いい人」たちで、人間ってやっぱり捨てたもんじゃないとちょっぴり心が温まったのが、この作品で唯一心を動かされた点で、そんな人たちに囲まれた田村家の3人の子供たちは決して不幸せではない、むしろ幸せだったと思う。それにしても、「ハイ、解散!!」の一言を残し、子供を置いて姿を消したイッセー尾形扮する一朗、あんな無責任この上ない父親が実在したとは・・・・・田村裕がここまで有名になった今、父一朗の末路がどうなったのか非常に興味がある。