評     価  

 
       
File No. 0856  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年11月01日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   窪田 崇  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   今日も、明日も、
あさっても
僕の中には、君がいる
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   塚本 高史 [as 柳田聡史]
國村 隼 [as 柳田昭彦]
和田 聰宏 [as 柳田昭彦(32年前)]
原田 夏希 [as 真山澪(32年前)]
カンニング竹山 [as 藤井哲男]
蟹江 一平 [as 柳田慎一]
中別府 葵 [as 槙村茜音]
柳沢 なな
ヒロシ
酒井 法子
高橋 惠子 [as 真山澪]
風吹 ジュン [as 柳田節子]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    ガソリンスタンドで働く柳田聡史は、冷徹な父昭彦の電報に呼び出され、昭彦が入院しているホスピスの病室を訪れていた。癌を患い余命わずかとなった昭彦は、聡史に意外な頼み事をする。それは32年前に別れた女性を捜して欲しいというものだった。手がかりは真山澪という名前と当時の住所、彼女が東洋音楽大の学生であったこと、そして、当時画家を目指していた昭彦が描いた1冊の古びたスケッチブックだけだった。彼女が昭彦の子供を身籠もっていたことを知らされた聡史は、渋々昭彦の頼みを引き受けるのだった。
 聡史は、かつて昭彦が澪と共に暮らしていたアパート「明風荘」を訪ねてみる。すでに老朽化が進み、今は住む者もいない古びたアパートの前で聡史は、ふと思い出したように父のスケッチブックを開いてみる。そこには、今よりもずっと新しい明風荘の姿が描かれていた。父が描いた絵にしばし見入っていた聡史は、突然軽いめまいに襲われる。そして、聡史が誰も住んでいないはずの203号室のドアを開けると、そこには若い2人の男女の姿があった。女性の名は真山澪、男性の名は柳田昭彦。聡史は32年前の世界にタイムスリップしてしまっていたのだった。
 突然の出会いではあったが、なぜか3人は運命的なものを感じ、すぐに意気投合するようになる。澪に言わせれば普段は初対面の相手とは話をしない、そんな昭彦すらすっかり聡史を気に入って饒舌になっていた。その後も、スケッチブックを開くたびに32年前の澪と昭彦に出会った聡史は画家を目指す昭彦とピアニストを夢見る澪の2人を真剣に応援する用になる。しかし、そのバランスは昭彦が父親からレストランを相続したことをきっかけに、徐々に崩れていってしまうのだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    『アイズ』同様に公開を楽しみにしていた作品なのだが、『アイズ』のように期待を裏切られずに済んだのが嬉しい。男性同士の友情、男女間の愛情、そして親子の愛情という3つの情愛が盛り込まれている作品で、それらが互いに自己主張することもなく巧みに均衡を保っているために、観ていて非常に気持ちがいい。
 キャスティングも主演の塚本高史を筆頭に、透明感のある真山澪を演じた原田夏希、そう思って観ればどことなく國村隼に似てる気がする和田聰宏の3人はもちろん、無骨で自分を表現するのが下手なために誤解されやすい父・昭彦を演じた國村隼のシブい演技も良かった。さらには、今までは嫌いな女優に属していた風吹ジュンも、この作品で初めて「いい演技をしてるなぁ」と感心した。ただ、唯一ガッカリさせられたのは、現在の澪を演じた高橋惠子。國村隼と和田聰宏に違和感がなかったのに比べ、原田夏希が作り出した真山澪のイメージをすべてブチ壊すような高橋惠子の登場だった。
 個人的には、ラストでの聡史と昭彦の会話のシーンが強く印象に残っている。私は父親を反面教師にしか思えないだけに、父親の大きさを認めそれを乗り越えるべき目標に設定できる聡史が羨ましかったのかもしれない。