かつて、これほど海外ドラマにハマッたことはないというほど夢中になったシリーズの劇場版。久しぶりのX-ファイルだったが、モルダーとスカリーに加えスキナー副長官まで登場してくれたのは嬉しかった。シリーズのプロデューサーであったクリス・カーター自らがプロデュースと脚本に加えてメガホンをとり3役をこなしたこの作品、意外にもX-ファイル独特の超常現象の描写は控えめで、現実的な犯罪捜査に重きを置いて作られていた。ファンとしては、ファースト・シーズンの『スクィーズ』に登場するユジーンのような強烈なキャラクターの登場を期待していただけに、ちょっと残念。
ジョー神父の能力が本物なのか否か、最後までハッキリとした答えを提示せずに観た者の想像に任せる余地を残しているのは相変わらず。そして、モルダーとスカリーの関係が今まで深く描かれているように感じた。副題である『I WANT TO BELIEVE』は直訳すれば「私は信じたい」、それはモルダーとスカリーの関係についてでもあると同時に、ジョー神父に対するモルダーの気持ちでもあったのだろう。「真実を求めて」とは、確かにシリーズを通して貫かれるテーマではあるが、この作品の副題としては当初の「アイ・ウォント・ツォ・ビリーヴ」で良かったと思う。