評 価
File No.
0863
製作年 / 公開日
2008年 / 2008年11月08日
製 作 国
日 本
監 督
中原 俊
上 映 時 間
102分
公開時コピー
私たち、あんがい自分らの生き方にスジとおしてるよ☆
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
最初に観たメディア
Theater
Television
Video
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト
福田 沙紀
[as 結城桃]
寺島 咲
[as 赤星真由子]
杏
[as 小笠原葵]
大島 優子
[as 沢美登里]
はねゆり
[as 横田奈々美]
武井 咲
[as 水田真紀]
涌澤 未来
[as 村上鞠子]
西川 風花
[as 片山千春]
潘 めぐみ
[as 和田遥]
山田 麗
[as 富田味蕾]
ひろせ 友紀
[as 橘久美]
森岡 朋奈
[as 栗原菜緒]
米倉 涼子
[as 若松志乃]
菊川 怜
[as 板野佳代]
上戸 彩
[as リミ]
柳下 大
[as 町田洲]
京野 ことみ
[as 結城杏]
大杉 漣
[as 鈴木仁三郎]
富司 純子
[as 高山玲子]
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ
音楽の名門学校に通う
結城桃
は、自分の弾き方でバイオリンは諦めるしかないと指導教官の
若松志乃
から指摘されてしまう。伝統を重んじる学校の方針に従うことに限界を感じた桃は、自らバイオリニストになる夢を捨ててしまう。そして、母と姉が卒業した名門私立女子校の櫻華学園に編入することになった。いかし、櫻華学園もまた古くからの伝統に囚われた学校だった。そして、他人からどう思われようが自分の思ったことを通したい桃は、早速学級委員の
赤星真由子
や教頭の
高山玲子
と摩擦を生じてしまう。
そんな桃は、図書室の窓から見える古い建物に興味を持つ。それは使われなくなった旧校舎で、その中には“開かずの部屋”と呼ばれる部屋があることを知る。好奇心に誘われて旧校舎に忍び込んだ桃は、“開かずの部屋”が廃部になった演劇部の部室だったことを知り、そこでチェーホフの「桜の園」の台本を見つける。そして、その脚本を書いたのが桃のクラスの担任である
坂野佳代
えあることを知った。台本を持ち帰った桃は、次の日昼食に誘われた
小笠原葵
、
沢美登里
、そして
横田奈々美
の3人に「桜の園」の話をした。すると、誰ともなく「桜の園」を実際に演じてみようと盛り上がるのだった。
早速メンバー集めに奔走する桃たち4人は、旧校舎で彼女らが何をしているのか不審に思ってのぞきに来た赤星までをも強引に巻き込み、本格的な練習を始める。ところが、ふとしたことから桃たちの活動が学校側にしれてしまう。そして、教頭の高山と担任の坂野から呼び出された桃は、「桜の園」を止めなければメンバー全員の短大進学への道は閉ざされると釘を刺されてしまう。どうしようもない条件を持ち出され、桃はやむなく「桜の園」の上演を諦めてしまうが・・・・・。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント
エンド・クレジットで原作があの『吉祥天女』の吉田秋生だと知ったが、未だに信じられない。あのタッチでこの作品が描かれていたなど、微塵も想像することができないのだ。もちろん、あの吉田秋生独特のおどろおどろしさなどなく、技巧に凝ることもなく、ろ紙でろ過されたように嫌みのない、驚くほど素直で直球勝負の前向きなストーリーの作品だった。ここ最近に観た作品の中でも、見終えた後の心地よさ・後味の良さは群を抜いている佳作だった。
それにしても、気がついたらスクリーンにまともに男性が登場したのは大杉漣と柳下大の2人だけで、あとは全員女性だったのだが、不思議と違和感は感じなかった。そして、主役の福田沙紀がもちろん良かったのだが、それは彼女を取り巻く5人の女性たちのおかげでもあっただろう。この作品を見てつくづく感じたのは、そもそも女優を職業に選ぶからには誰だって自己顕示欲は少なからず持っているはずで、誰だって自分が主役で輝きたいと思っている。けれども、主役に選ばれるのはほんの一握りの女優に限られているわけで、それは僥倖とも言うべき運に恵まれた結果だと思う。従って、多くの女優たちは自分が主役を演じたい欲求を抑えて、脇役に徹しなければならない。そういう脇役たちに囲まれて、初めて主役は輝けるのだ。そういう意味では、主役の演技の善し悪しはもちろんのことだが、いくら主役が良くても脇役次第でも作品の出来映えは大きく左右される。そしてこの作品では、脇役たちの見事な支えが会ったからこそ、主役である福田沙紀が輝くことができて、作品自体も非常に心地のいい作品に仕上がっているのだと言えるのだろう。
ちなみに余談ではあるが、タイトルに付された『−さくらのその−』は、副題なのかフリガナなのかは判別がつき難いが、どう考えても蛇足だ。『櫻の園』が読めないとでも思っているのだろうか?