評     価  

 
       
File No. 0866  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年11月15日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   矢口 史靖  
       
上 映 時 間   103分  
       
公開時コピー   ヒコーキ、飛ばします。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   田辺 誠一 [as 鈴木和博]
時任 三郎 [as 原田典嘉]
綾瀬 はるか [as 斎藤悦子]
吹石 一恵 [as 田中真里]
田畑 智子 [as 木村菜採]
寺島 しのぶ [as 山崎麗子]
岸部 一徳 [as 高橋昌治]
笹野 高史 [as 乗客]
菅原 大吉 [as 乗客]
田中 哲司 [as ライン整備士]
ベンガル [as バードパトロール]
田山 涼成 [as グランドマネージャー]
平岩 紙 [as グランドスタッフ]
中村 靖日 [as ディスパッチャー]
肘井 美佳 [as ディスパッチャー]
小日向 文世 [as 機長]
竹中 直人 [as 乗客]
柄本 明 [as 悦子の父]
 
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あ ら す じ    副操縦士の鈴木和博は、機長昇格の最終関門である乗客を乗せた実機での訓練に臨むこととなった。ところが、甘いことで評判だった担当の試験教官が直前で風邪をひいてしまい、急遽担当が交代することになった。代わりの担当教官原田典嘉は威圧感充分でニコリともしない人物で、鈴木の緊張感は否応なしに頂点に達するのだった。そんな彼が操縦するのは、成田発ホノルル行きの1980便だった。
 新人CAの斎藤悦子は、初めて国際線に搭乗することとなり、厳しいことで評判のチーフ・パーサー山崎麗子に率いられ、田中真里らCAと共にホノルル行き1980便に乗り込んだ。空港カウンターでのグランドスタッフや、整備士たちの懸命な努力もあり、1980便は無事定刻に離陸することができた。ところが、離陸後2時間ほどを経過した頃、1980便の機体に異常が発覚する。離陸時にカモメがぶつかったために、空気の流れの速さを計測するセンサが機能しなくなっていたのだ。機長の原田は、やむなく成田に引き返す決定を下す。ところが、その時の成田は出発時の晴天とはうって変わって、台風の影響で暴風雨のまっただ中だった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    一機の旅客機がテイクオフしてから空港に着陸するまで、パイロットやキャビン・アテンダントはもちろんのこと、グランドスタッフ、管制官、整備士、バードパトロール、その他大勢の人たちが関わっていることの説明が作品の前半に上手く取り込まれていて、今まで知ることのなかった裏方の存在を初めて知ることができた。実は、『ハッピーフライト』というタイトルと予告編の映像から、結構お気楽なキャビン・アテンダントのお話かと予想していたが、観てみるとその予想をいい意味で見事に裏切る内容の作品だった。決して『ハッピーフライト』などという幸せなフライトではなく、むしろ一歩間違えたら墜落という緊迫したコックピットや、乗客の注文やクレームに対応するCAの苦労などが、結構シリアスに描かれている作品だった。
 そもそも、予告編を観る限りは主演は綾瀬はるかにしか思えないのだが、実際には田辺誠一扮する機長昇進試験を受ける副操縦士の鈴木と彼を審査する、時任三郎扮する機長の原田が主役だ。そして、後半に至っては綾瀬はるかの存在などすっかり忘れて、コックピットの緊張感に感染したかのようにスクリーンに観入っている自分に気づいた。そんな中で、田辺誠一のいかにも新人らしい緊張ぶりと、時任三郎の厳しさの中に時折見せるコミカルさが絶妙にマッチしているのがいい。また、これはどんな仕事にも当てはまることだが、一見華やかに見えるCAも乗客には見せない裏側ではその華やかさとはかけ離れた過酷な面も持ち合わせていることがよくわかる。あれもこれも欲張って取り込んだ感があるが、その割には非常に上手くまとめられていて、観る前に退屈するのではないかと危惧していたのが嘘のように雲散霧消してしまった103分だった。