評     価  

 
       
File No. 0868  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年11月22日  
       
製  作  国   イギリス  
       
監      督   ロジャー・ドナルドソン  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー  
 封印された英国史上最大の銀行強盗事件
これは実話である。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジェイソン・ステイサム [as テリー・レザー]
サフロン・バロウズ [as マルティーヌ]
リチャード・リンターン [as ティム・エヴェレット]
スティーヴン・キャンベル・ムーア [as ケヴィン]
ダニエル・メイズ [as デイヴ]
ピーター・ボウルズ [as マイルズ・アークハート]
キーリー・ホーズ [as ウェンディ・レザー]
コリン・サーモン [as ハキム]
ピーター・デ・ジャージ [as マイケルX]
ジェームズ・フォークナー [as ガイ]
シャロン・モーン [as ソニア]
アルキ・デヴィッド [as バンバス]
アリスター・ペトリ [as フィリップ・リスル]
マイケル・ジブソン [as エディ]
ジョージア・テイラー [as イングリッド]
デヴィッド・スーシェ [as ロウ・ヴォーゲル]
 
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あ ら す じ    1971年のロンドン。妻のウェンディと2人の娘を抱え、細々と中古車業を営む中年男テリー・レザー。経営は安定せず借金取りからは理不尽な催促に遭う中で、昔付き合っていたモデルのマルティーヌから突然呼び出される。そして、彼女からべーカー街にあるロイズ銀行か装置交換のために1週間警報装置が解除されるために、金庫をねらうチャンスだと持ちかけられた。テリーは迷った末、実はこの話には裏があることも知らずに、彼女の提案に乗る決意をする。
 テリーは早速仲間を募り、自称カメラマンのケヴィンデイヴといった友人に加え、詐欺師のガイ、掘削の専門家バンバス、それに店の従業員エディが集まり、マルティーヌを加えて総勢7名のチームが誕生した。そして彼らは、銀行の二軒先の店舗改装工事を装って、店の地下から銀行に向かってトンネルを掘り始めたのだった。見張り役のエディとの無線通信をアマチュア無線家に傍受され、警察に通報されながらもツキも手伝って、テリーたちは見事ロイズ銀行の貸金庫から400万ポンドを越える現金に加え、貴金属類やその他の雑多な品々を奪い凱旋するのだった。
 ところが、分け前を分配する段に至って、獲物の中にとんでもない品物が混じっていることに気づく。そのひとつは、イギリス王家のスキャンダル写真であり、実はマルティーヌの目的もその写真だった。彼女は実は麻薬密輸で逮捕された折に諜報機関Mi-5のティム・エヴェレットに助けられ、その交換条件が写真の奪取だったのだ。そして、その写真の持ち主はマイケルXと名乗る悪党で、何度逮捕しても王家のスキャンダル写真を盾に逃げられてしまっていた。Mi-5の目的は、王家のスキャンダル写真の回収と共に、マイケルX逮捕にあったのだ。そして、それ以上に危険なブツが獲物の中に含まれていた。政府高官の痴態を写した写真やマフィアのボスロウ・ヴォーゲルが悪徳警官へ渡した賄賂の元帳がそれで、ロウは殺人など微塵も躊躇恐せずに元帳回収に乗り出してくるのだった。
 こうして、文字通り四面楚歌の状態に追い込まれたテリーたちと、Mi-5に政府高官、マフィアのボスにマイケルXらとの壮絶な駆け引きが始まるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1971年にイギリスのべーカー街ロイズ銀行で実際に起きた銀行強盗事件を、徹底的なリサーチを行って可能な限り忠実に再現した作品。事件の真相は、英国政府によって2054年まで機密にされているという。事件関係者からは、非公式ながらも9割は真実を言い当てているとのこと。もっとも、どこまでが真実であってどこからがフィクションであるかなど、そんなことはこの作品を評価する上では枝葉末節に過ぎない。
 主演のジェイソン・ステイサムは『トランスポーター』シリーズでお初にお目にかかった俳優で、その第一印象ではジャン・クロード・ヴァン=ダムのような肉体派専門かと思っていたが、『アドレナリン』のようなバカバカしいナンセンスな役をこなす一方で、『ローグ アサシン』や『リボルバー』など演技で魅せるような役柄を演じても、なかなかシブい味を出せるいい役者だ。
 実は当日、寝不足だった上に午前中は野球の練習で、終わってから昼食を摂ったためにシネマライズに着いた時点で既に猛烈な睡魔に襲われていて、実際前半の導入部では悔しいけれども所々意識が途切れてしまっていた。けれども、一転して中盤から後半にかけてはスリルと緊張でたたみかけてくるような展開に、眠気などは完全に消し飛んでしまっていた。多彩なキャラクターが無駄なく個性的に描かれていて、ついつい引き込まれていく巧みな描き方は観る者を決して退屈させない。もしも“強奪モノ”というジャンルがあるとすれば、おそらくはその一つの指標となるであろう秀作と言っていいと思う。