評     価  

 
       
File No. 0872  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年11月22日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   福澤 克雄  
       
上 映 時 間   139分  
       
公開時コピー   家族へ、帰りたい。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   中居 正広 [as 清水豊松]
仲間 由紀恵 [as 清水房江]
柴本 幸 [as 敏子]
西村 雅彦 [as 根本]
平田 満 [as 三宅]
マギー [as 酒井正吉]
加藤 翼 [as 清水健一]
武田 鉄矢 [as 竹内]
伊武 雅刀 [as 尾上中佐]
片岡 愛之助 [as 日高大尉]
名高 達男 [as 足立少佐]
武野 功雄 [as 木村軍曹]
六平 直政 [as 立石上等兵]
荒川 良々 [as 滝田二等兵]
泉 ピン子 [as 折田の母]
浅野 和之 [as 通訳]
金田 明夫 [as 背広の男]
山崎 銀之丞 [as 山口]
梶原 善 [as 折田俊夫]
織本 順吉 [as 松田]
草g 剛 [as 大西三郎]
笑福亭 鶴瓶 [as 西沢卓次]
上川 隆也 [as 小宮]
石坂 浩二 [as 矢野中将]
 
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あ ら す じ    高知の港町で妻房江と共に理髪店を営む清水豊松。生活は楽ではないが、やっと理髪店の目途が立ったと思った矢先、召集令状が彼の元に届けられる。そして、この赤紙が豊松の人生を大きく狂わせるのだった。
 彼が配属された本土防衛のための中部軍の部隊は、ある時アメリカ軍兵士を捕虜として確保する。捕虜の処分について、司令部トップの矢野中将は「適切に対処せよ」と命じるが、豊松の上官である日高大尉は命令を「処刑」と解釈し、立石上等兵に指名された二等兵である豊松と滝田二等兵が刑の執行を命じられてしまう。敵兵とはいえ人を殺すことに尻込みする豊松に対し上官は容赦なく、やむなく捕虜を突いた豊松の銃剣は右腕に傷を負わせただけだった。しかし、既に衰弱しきっていた捕虜は命を落としてしまう。
 終戦となり、家族の待つ高知へ戻った豊松は、房江から二人目の子供を授かったことを知らされ、幸せな生活に浸っていた。ところが、その平穏な生活は長くは続かず、ある日豊松は米軍兵士の処刑事件に関する戦犯容疑で逮捕されてしまう。そして、占領軍による裁判で無実を訴える豊松の叫びも虚しく、死刑という過酷な判決が下されてしまうのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1959年に制作された同名映画のリメイク作。予想通り劇場の観客は年配の方が大勢を占めていたが、若年層も思ったほど少なくないのは意外だった。おそらくは、中居正広・仲間由紀恵というコンビのおかげだとは思うが、こういう趣の作品でもジャニーズを主演に起用するとは制作者側の良識を疑いたくなる。そして、初めて観る中居正広の演技はやはり思った通りで、上手いとはお世辞にも言うことができない、「さすがジャニーズ」と言うべき内容だった。キャスティングを疑いたくなるのは中居だけではない。収容所での同室に笑福亭鶴瓶とは、否が応でも「ザ!世界仰天ニュース」を連想してしまう。こんな所で他局の番組を使って笑いをとって、TBSは一体何がやりたいのだ?(笑)それに引き替え、やはり石坂浩二の重厚な演技は見事であり、中居との格の違いをまざまざと見せつけられた思いだ。
 石坂浩二の印象が強いため、以前に観た『明日への遺言』とイメージがダブる感があった。石坂浩二と藤田まこと、いずれも日本を代表する名優であり、両者共に責任をすべて自分が負って部下を助けようという誇りと潔さが快い。がしかし、本作ではそれは本筋ではなく、メインは冤罪ともいうべき罪を宣告された主人公の清水豊松なのだが・・・・・。初めて観た中居正広の演技は、少なくとも喜怒哀楽が明確に表現できている点では同じSMAPの木村拓哉よりは遥かに好感がもてることは確かだ。ただ、それでも名演技と呼ぶにはほど遠いのだ。
 例えば喜びの表現。宝くじで1等を当てた時の喜びと、死刑を宣告された自分に面会に来た家族と会った時の喜び。これは当然同じ喜びであっても、その意味合いには雲泥の差がある。それを演技で表現し分けるのが俳優なのであって、彼の場合はどちらも同じ喜びでしかない。一事が万事その調子で演技されては、観ている者に主人公豊松の感情など伝わってくるはずがない。おかげで、この手の作品には涙腺の締まりがない私ですら、最後まで感情を揺さぶられることなく極めて冷静なまま終わってしまった。また、仲間由紀恵扮する房江が嘆願の署名を集めるシーンにあれほどの尺をさくとは、感動するどころかあざとさを感じて却って醒めてしまう。観るかやめるか迷った作品ではあったが、結局無料ポイントで観ることにして正解だったようだ。