評     価  

 
       
File No. 0879  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年12月06日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   水田 伸生  
       
上 映 時 間   128分  
       
公開時コピー  
 救出できる時間
台風の目の中に入る、わずか[18分]。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   伊藤 英明 [as 篠原祐司]
内野 聖陽 [as 篠原静馬]
山田 孝之 [as 重村誠]
香椎 由宇 [as 海野咲]
木村 祐一 [as 藤井圭介]
MINJI [as キム・スミン]
山本 太郎 [as 宮内達也]
桜井 幸子 [as 篠原由美]
大森 絢音 [as 篠原しおり]
阿部 サダヲ
温水 洋一 [as 津田沼晴男]
西村雅彦 [as 小暮秋雄]
松田 悟志 [as 青木一平]
杉本 哲太 [as 真柴哲司]
 
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あ ら す じ    小笠原諸島で起きた地震が原因で、海底の裂け目から地熱が放射され、付近の海水の温度が異常に上昇した。海水は蒸発し、上空には巨大な積乱雲が発生する。気象庁は巨大台風発生の可能性を考慮していたが、パニックをおそれて情報を公表せずに伏せていた。そして、それが裏目に出たのだった。
 突然、都内に巨大な雹が降り注ぐ。娘の誕生日にプレゼントを買いに銀座にいた、元レスキュー隊員の篠原祐司は、あわてて待ち合わせをするはずだった妻由美と娘しおりが心配になり、妻の携帯に連絡を入れる。由美としおりは銀座線の新橋駅にいたが、駅は突然の異常気象にパニック状態に陥っていた。祐司は今行くから待っているように由美に伝え、地下鉄で新橋へと向かうのだった。
 新橋駅では、高波の影響による鉄砲水が発生しており、人々は狂乱状態に陥っていた。由美とはぐれてしまったしおりは、駅のホームでうずくまっていたところを通りがかりの韓国女性キム・スミンに助けられる。そして、そこへ祐司が乗った電車が到着するが、折り悪く地下鉄の坑道を鉄砲水が襲い、人はもちろんのこと地下鉄の車両もすべて水に飲まれてしまった。
 命からがら新橋駅まで泳ぎ戻った祐司は生存者を探し、大阪からセールスに訪れていた藤井圭介、研修医の重村誠を見つけ、そして、しおりもまた負傷したキム・スミンに守られて無事だった。しかし、すでに新橋駅周辺は地盤が崩落しており、出口はふさがれてしまっていた。5人は旧新橋駅に移り、そこでレスキューに生存者がいることを知らせるために、鉄パイプで柱を叩き“252”の信号を送るのだった。
 一方、しおりとはぐれた由美は、レスキュー隊の隊長で祐司の兄でもある篠原静馬に助けられる。由美は静馬にしおりの救出を懇願するが、巨大台風によって地盤がゆるんでいるためにいつまた地盤が崩落するかわからない状況下、レスキューの指揮官・真柴哲司は待機命令を解こうとしなかった。しかし、そこへ一筋の光明がもたらされる。
 単独で地下に潜っていた隊員青木一平が、祐司らが送る“252”の信号をキャッチしたのだ。加えて、気象庁予報部職員の海野咲によると、台風の目に入る18分だけ風が収まるという。静馬は、その18分でヘリによる救助を断行することを真柴に進言し、ついに真柴の許可が下りた。果たして、地下に閉じこめられた5人を18分という限られた時間内に救い出すことができるのだろうか?
 
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たぴおか的コメント    災害によって引き起こされたパニックの描写、という点では、今までの邦画の中でも出色の出来だと言える。都内に突然降ってくる巨大な雹、そして高波が押し寄せて舞台である銀座線新橋駅を鉄砲水が襲う様子などが実に見事に映像化されている。そして、シリアスなドラマの中で唯一笑いを誘ったのが、高波に襲われて倒壊したフジテレビの社屋の映像だ。日テレ開局55周年の記念作品でフジテレビ崩壊とは、これは今後にかける日テレの決意の表れなのだろうか(笑)。  ただ、物語の設定には首をかしげたくなる点も少なくない。台風の目に入るわずか18分にすべてを賭けるというのはわかるが、生存者がどの場所に何名いるかもわからずに爆破するというのはどう考えても無謀。たまたま弟が生存者をとりまとめていたから全員助かったようなものの、一歩間違えば全員爆死している。それに、いざ救出という場面がレスキューの活躍を描く最大の山場であるにもかかわらず、その辺はあっさりと省略されてしまっている。加えて、久しぶりの兄弟の再会だからか、時間を忘れてしみじみと語り合うのはレスキュー隊長にあるまじき行為だ。
 それ以外にも突っ込みたくなる点はあるが、今回は主人公の娘・しおりを演じた大森絢音ちゃんの可愛さに免じての星8個だ。耳が不自由でしゃべれない役柄のため、感情をすべて表情で表さなければならないが、それが実に上手くて本物の聾唖者なのではないかと思ったくらいだ。ラストでの彼女の叫びがあまりに切なくて、それだけに一転して笑顔を見せた時には、とても輝いて見えて魅力的だった。ラストシーンでの感動は、すべて彼女の演技の賜だと言っても過言ではない。