評     価  

 
       
File No. 0881  
       
製作年 / 公開日   2006年 / 2008年12月13日  
       
製  作  国   スペイン  
       
監      督   アグスティン・ディアス・ヤネス  
       
上 映 時 間   145分  
       
公開時コピー   <誇り>は戦場に求め
<義>は友に捧げ
<愛>は心に秘める
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ヴィゴ・モーテンセン [as ディエゴ・アラトリステ]
エドゥアルド・ノリエガ [as グアダル・メディーナ伯爵]
ウナクス・ウガルデ [as イニゴ・バルボア]
カビエル・カマラ [as オリバーレス伯爵]
エレナ・アナヤ [as アンヘリカ・アルケサル]
アリアドナ・ヒル [as マリア]
エンリコ・ロー・ヴェルソ [as マラテスタ]
 
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あ ら す じ    17世紀のスペイン。13歳の時より己の腕だけを頼りに師と背中合わせの戦場を生き抜いてきた一人の剣士がいた。彼の名は、ディエゴ・アラトリステ。彼は戦場ではスペイン国王の傭兵として、平時には最高の剣客として、その名は国中に響き渡っていた。
 彼は、ある戦場で命を落とした戦友の最期の頼みを聞き入れ、スペインに帰国すると彼の息子イニゴ・バルボアを引き取り育てることになる。そんなアラトリステには、心に秘めた女性がいた。彼は人気女優のマリアがその相手だった。しかし、彼女は夫がいる身であり、それは許されない逢瀬だった。
 ある時アラトリステは、正体を隠した身分の高い人物から、イギリスより訪れる異端者2人を殺すよう命じられる。しかし、この依頼を不審に思ったアラトリステは、2人を殺すことを思いとどまる。実は、2人は英国王皇太子とその従者だったのだ。そしてこの事件を機に、アラトリステはイタリア国王をも巻き込む胃王室の陰謀の渦に、否が応でも巻き込まれていくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『イースタン・プロミス』の演技で一躍脚光を浴びたヴィゴ・モーテンセンの主演作。制作年が2006年であるところを見ると、『イースタン・プロミス』の結果如何による日和見的な公開ではないかと勘ぐりたくなる。そして、ヴィゴ・モーテンセンの壮絶な演技が話題に上ったため、彼の訴求力に頼っての日本公開に踏み切ったのではないだろうか。いくら主役で客を集めても、作品自体に魅力がなければ決して興行は成功しないということを配給側は肝に銘じていただきたいものだ。
 ディエゴ・アラトリステという人物、てっきり歴史上実在した人物かと思っていたら、架空の人物とのこと。映画を観ていて「史実を描いているならば多少退屈でもやむを得ないか」などと思っていたが、架空の人物ならもっと観る者を楽しませる方法があるだろうに・・・・・久しぶりに早く終わらないか、そればかり気になってしまった。とにかく作品があまりに浅薄に感じ、“ドラマ”ではなく“歴史ドキュメンタリー”を見せられているような、感情を動かされることがほとんどなかった作品だった。えてしてそういう場合に作品の尺が長かったりするのだが、この作品も145分という長尺で正直辛い以外の何物でもなかった。
 とにかく、登場人物の描き込みが不足しているのは致命的で、誰がアラトリステの味方で誰が敵なのか、誰がどういう立場にいてその言動がどういう意味合いを持っているのかも理解できない。また、アラトリステは「最高の剣士」と称されたとのことだが、ヴィゴ・モーテンセン扮するアラトリステからは「剣士」という風格というか気品が感じられず、日本でいう単なる“野武士”にしか見えないのは苦しい。そして、自分の息子同然のイニゴに対してなすすべもなく敗れたマラテスタに瀕死の重傷を負わされるのが、そのことにさらに拍車をかけている。私としては決して勧められる作品ではないので、観たい方は自己責任でどうぞ、といったところだろうか。