評     価  

 
       
File No. 0885  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年12月20日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ミヒャエル・ハネケ  
       
上 映 時 間   111分  
       
公開時コピー   禁じられた遊び。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ナオミ・ワッツ [as アン]
ティム・ロス [as ジョージ]
マイケル・ピット [as ポール]
ブラディ・コーベット [as ピーター]
デヴォン・ギアハート [as ジョージ(息子)]
ボイド・ゲインズ
シオバン・ファロン・ホーガン
ロバート・ルポーネ
 
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あ ら す じ    夫ジョージ、美しい妻のアン、そして息子のジョージのファーバー一家は、夏の数週間を過ごすために湖の別荘を訪れた。夫と息子はボートの準備をする中、アンはキッチンで夕食の準備にとりかかると、玄関先に隣家からの使いの青年ピーターが訪れる。卵を分けて欲しいと頼みに来たのだった。
 丁重な態度のピーターにアンは快く卵を渡すが、ピーターはそれを床に落として割ってしまい、図々しくも再度卵をくれないかと言い出す。そして、そこへもう一人の青年ポールもやってきて、2人で卵を要求する態度に薄気味悪さを感じたアンは、卵を渡して2人を別荘から出て行くように懇願した。そこへ夫のジョージと息子が戻ってきて、ジョージはアンの非礼な態度をたしなめるのだが、やがてアン同様に2人を不快に感じて追い出そうとする。しかし、ついに2人が残忍な本性を現した。
 2人はゴルフクラブでジョージの膝を砕くと、薄ら笑いを浮かべながらおよそ正気とは思えない提案をしてきた。「今から12時間後にあなたたち3人が生きているか、死んでいるか、賭けををしよう」と。こうして、アンたち家族にとっては悪夢としか思えない、命がけのゲームが始まるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1997年の『ファニーゲーム』を、ナオミ・ワッツを主演に据えてミヒャエル・ハネケ監督自らがハリウッドでリメイクした作品。オリジナル作品はその内容の不快さが大いに物議を醸したとのこと。もちろん、今回の作品でもその不条理かつ理不尽な暴力というテーマは変わらないわけで、それは誰が観たところで間違っても「心地よい」と感じるものでないことは確かだ。
 そういう意味では、そのルックスで一種の緩衝剤的な役割を果たしてくれるナオミ・ワッツを主役に起用したのは正解だと言える。そして、目的もなくただ快楽のために暴力をふるう若者ポールを演じるのは、『シルク』では主演を務めながらも今ひとつ印象が薄かったマイケル・ピットで、この作品では彼のその整ったルックスが冷酷さをより一層際だたせている。
 ポールが時々作品の中での台詞ではなく、明らかに観ている観客に向かって語りかけるシーンがあり、この手の作品での演出としては「??」だと思っていたのだが、後ほどそんな思いは消し飛ぶような掟破りの展開が用意されているとは夢にも思わなかった。ハッキリ言って、あれはどう考えても反則でしょう。できることなら同じ反則をアンにも使わせてあげたかった、と思ったのは私だけではないはず。まさにゲーム感覚の作品ならではの仕掛けだと言えるが、観た者がそれをどう評価するかは別問題で、私は試みとしては面白いとは思うものの、やはり否定的な立場に立たざるを得ないのだが。