評     価  

 
       
File No. 0886  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年12月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   塚本 晋也  
       
上 映 時 間   102分  
       
公開時コピー   京一・・・ごめんね、あなたを産んでしまって。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   松田 龍平 [as 影沼京一]
三浦 由衣 [as 間城雪絵]
韓 英恵 [as 菊川夕子]
松嶋 初音 [as アキ子]
安藤 輪子 [as 睦美]
内田 春菊 [as 間城貴理子]
北見 敏之 [as 菊川哲治]
光石 研 [as 影沼滝夫]
市川 実和子 [as 影沼逸子]
 
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あ ら す じ    他人の夢の中へ入る能力を持ち“悪夢探偵”という異名をとる影沼京一。このところ自分の幼い頃の夢にうなされる日々を送っていた彼の元へ、ある日女子高生の間城雪絵が依頼者として訪れる。彼女は悪夢を見て眠れないと京一に訴えるのだった。
 雪絵はクラスメートの菊川夕子が異様な恐がりであることを面白がり、友人の睦美アキ子と共に菊川を体育倉庫に閉じこめたのだ。そして、その日以来菊川は不登校となり、雪絵の夢に現れるようになったという。sかし、京一はちゃんと本人に会って謝るべきだと、雪絵の頼みを冷たく突き放すのだった。
 しかし、やがて雪絵の危惧は現実のものとなる。睦美が授業中に原因不明の心臓発作を起こし、机に頭を強打するという異様な死に方をしたのだ。再度雪絵から助けを求められ、ついに京一は重い腰を上げて菊川の家へと向かう。菊川は家にも戻らずに行方不明だったが、その部屋から彼女の間像が明らかになっていくにつれ、京一は彼女がある人物に似ていることを感じる。その人物とは今は亡き彼の母親逸子で、彼女は他人の心が見えてしまうが故にすべてを恐れ、自分と同じ力を持つ京一を産んでしまったことに後悔し、同時に京一を恐れてもいたのだった。
 そうこうするうちに、事態は予断を許さない状況になる。今度はアキ子が亡くなってしまったのだ。今菊川に会わなければ取り返しのつかないことになる、そう感じた京一は、ついに雪絵の夢の中に入って菊川に会う決意をする。そして京一にとってはそれは同時に、自分を恐れていた亡き母と対峙してその関係に決着をつけることでもあったのだ・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2007年正月に公開された『悪夢探偵』の続編。続編といってもストーリーに関連性はなく、全く別の独立した作品になっている。前作では、その覚束ない台詞回しのおかげで作品をブチ壊した感のあるhitomiが今回は登場しない(塚本監督も彼女を起用したことを後悔しているのではないか?)こともあって、随分と作品自体の毛色が違うように感じた。
 主役の影沼京一を「演じるのは、前作でイメージが定着した感のある松田龍平だが、それ以外のキャストには前作から続けての出演者が一人もいないのが特徴。特に、準主役である間城雪絵役の三浦由衣は300人の中から選ばれただけあって、成海璃子をちょっと野暮ったく(失礼!)したような個性的な顔立ちが印象的で、その演技力、特に微妙な表情(松田龍平のヘン顔のお陰らしいが)が素晴らしく、映画初出演とは思えない堂々としたものだった。
 肝心の作品はというと、夢と現実、過去と現在の境目が非常に曖昧で、どこまでが雪絵の夢でどこからが京一の夢なのか、果たしてそれは夢なのか現実なのか、前作よりもかなり難解な作品になっていた。加えて、菊川の事件と京一の母のエピソードの絡め方がやや強引に思えて、作品自体のまとまりも欠いているような気もした。「あちらが立てばこちらが立たず」といったところで、塚本監督の気負いがそのまま現れたような作品だった。