評     価  

 
       
File No. 0895  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年12月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   高橋 玄  
       
上 映 時 間   96分  
       
公開時コピー   君が死にたくなったときは、きっと僕が殺してあげるよ。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   本郷 奏多 [as 神山樹]
高梨 臨 [as 森野夜]
長塚 圭史 [as 喫茶店店主]
松尾 敏伸 [as 喫茶店常連客]
柳生 みゆ [as 樹の妹]
山中 聡 [as 喫茶店常連客]
鳥肌 実 [as 喫茶店常連客]
夏生 ゆうな [as 喫茶店常連客]
中田 圭 [as 喫茶店常連客]
二階堂 智 [as 数学教師・沢木]
奥田 恵梨華 [as 担任教師・柄谷]
 
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あ ら す じ    優等生でクラスメイトの前では明るく振る舞う高校生神山樹は、秘かに人間の暗黒面に強く惹かれており猟奇的な殺人事件の死体や犯人に特別の興味を示す“GOTH”と呼ばれる特殊な趣味の持ち主だった。ある日、近くの公園で左手首が切断された若い女性の死体が発見され、集まってきた野次馬に紛れた神山を見つけた、彼のクラスメイトの森野夜は、そんな神山が裏に自分と同じ嗜好を持っていることを見抜いて近づいてくる。
 クラスでは周囲に溶け込まず孤立していた森野は、神山にだけは心を許すようになっていき、神山もまた自分と同じ“GOTH”である森野に惹かれていく。そして、2人は放課後に森野の行きつけの喫茶店で頻繁に会って、世間を騒がせている連続リストカット殺人事件について語り合うようになる。そんなある日、トイレに立った森野は誰かが落としたらしい手帳を拾った。中を開いてみると、リストカット殺人の詳細がメモしてあった。神山はそれが犯人の物であることを疑っていたが、森野はそれが連続殺人犯のメモであることを確信していた。なぜなら、そこにはまだ報道されていない新たな殺人が記録されていたからだ。
 神山と森野は手帳に記された場所へ向かい、そこでやはり左手首を切断された第4の犠牲者を発見するが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    タイトルの“GOTH”とは、人間の残酷な暗黒部分に惹かれる者たちのことをいう名詞らしい。原作が悪いのか、監督・脚本が悪いのか、あるいは主演の本郷奏多の演技が悪いのか、さもなくばそれらすべてが悪いのか・・・・・映画の日とはいえ、元旦の夕刻にわざわざ渋谷まで出かけていっことを後悔させられた。この作品は、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない』『KIDS』『死にぞこないの青』と映画化作品が相次ぐカリスマ作家・乙一の代表作にして最大の衝撃作らしい。しかしながら、今まで観た作品中では今回が最低のレベルだと言わざるを得ないだろう。
 原作を読んだことがないので脚本の善し悪しはともかく、主演の本郷奏多の演技に関しては、お世辞にも上手いとは言い難い。先に観た『K-20 怪人二十面相・伝』での小林少年役はひとり学芸会のノリだったし、今回の作品と併せて彼の演技力の拙さが完全に露見してしまったように思える。相手方の森野夜を演じた高梨臨の方が、今回オーディションで選ばれた映画初出演とは思えない演技で強烈な印象を残してくれている。
 人間の残酷な部分に興味が全くないと言えば嘘になる。しかし、この作品の神山と森野ののめり込み方は異常で、ダーク・ヒーロー、ダーク・ヒロインという言葉で片づけるわけにはいかない。唯一救いなのは、自ら行動を起こすことはなく、あくまで他人の行動に興味を持つのに止まっていることだが、それにしても反道徳的な存在であることは明らかだ。そして、秋葉原の無差別殺傷事件に代表されるような事件が相次ぐ今、このような“GOTH”が増えて火に油を注ぐようなことにならないかと危惧せざるを得ない。