評     価  

 
       
File No. 0896  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年12月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   KAZUTAKA  
       
上 映 時 間   118分  
       
公開時コピー   運命の人ってどこにいるの?
今まで出逢った人?
それとも・・・?
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   柳沢 なな [as 美月茉莉亜]
松田 悟志 [as 榊賢斗]
篠田 光亮 [as 蒼井冬馬]
立花 彩野 [as 和泉暁子]
立原 あつ美 [as 桂沙織]
佐藤 考哲 [as 早坂七海]
鳥居 みゆき [as 若女将]
大門 正明 [as 蒼井数馬]
塚本 高史 [as 桑原一隆]
 
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あ ら す じ    銀行の営業部で働く美月茉莉亜は、新入社員の研修で見初められて以来同じ職場で働く先輩の榊賢人と交際しながらも、キスはおろか手も握ったことがなく、彼が亡き母のいう“運命の人”であるか確信を持てずにいた。ある日彼女は、アパートのゴミ捨て場にあったピアノのようなキーボードのような楽器に惹かれ、弟七海を呼び出して手伝わせ、楽器を自分の部屋に運び入れる。見つけた鍵を使って開くと、そこには“ダルシトーン”と記されてあった。
 その日以来、茉莉亜は不思議な夢を見ることが多くなった。それは、ある時は自分が小さかった頃の夢であり、あるいは学生時代の夢であったり。茉莉亜には夢が自分に何か語りかけているような気がしてならなかった。そんなある日、彼女はあるプロジェクトに抜擢され、上司と共に取引先との打ち合わせ兼接待に臨む。ところが、先方の専務は茉莉亜が学生時代に“運命の人”と信じていた元彼の蒼井冬馬だった。そして、あろうことか冬馬は茉莉亜の気持ちなど度外視して強引によりを戻そうとする。やむなく茉莉亜は榊の助けを求め、榊は冬馬に殴られて怪我をしてしまう。
 榊の手当をするために自分の部屋に連れ帰った茉莉亜は、少しずつ自分のことを榊に話し始める。学生時代に冬馬と付き合っていたこと、幼い頃に父を亡くして母もまた7年前に亡くなったこと。そして、茉莉亜は榊に、父の写真を探し出す手伝いをして欲しいと頼み、榊はこれを快諾する。こうして、奇しくも茉莉亜は自分の誕生日に榊と2人で写真を持っているであろう叔母を訪ねる旅に出るのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    こういう作品は嫌いではないのだが、結局最後まで意味の解らないシーンがあり、その意味ではやや消化不良気味だった。そもそも、茉莉亜の見る夢の意味が最後まで理解できない。夢の中では彼女の家庭は非常に裕福らしく、母親は外国人のようだ。そして、どうやら彼女には兄がいるように思える描写もあるが、しかし、現実には母親は日本人で彼女に兄はなく弟がいる。そして、何よりも気になって仕方ないのは、彼女と賢人が兄妹ではないかという疑問が、最後の最後で突きつけられる点。その答え如何によっては、作品の解釈が大きく異なってくるから。もしも2人が赤の他人であれば、ハッピーエンドの物語となるが、もしも血のつながった兄妹であるならば、これほど悲劇的な結末は勘弁してもらいたい、そう思うほど辛い終わり方になるのだ。また、タイトルにもなっている“やさしい旋律”がストーリーに果たす役割が著しく軽微であり、しかも、私は榊がダルシトーンで奏でた曲が“やさしい旋律”なのだと認識しているものの、それが果たして正しい解釈なのかも定かではない。
 茉莉亜を演じる柳沢ななは、松下奈緒からアクを抜いたような美人なのは嬉しいのだが、その反面印象に強く残る特徴がないために、今では顔を思い出すことができないのが残念だ。そして、相手役の真面目で優しい榊と女性にだらしない冬馬をそれぞれピッタリの役者が演じているのがいい。特に冬馬を演じた篠田光亮は、こんなサイテーな人格の男がいるのかと、と嫌悪感すら感じさせるほどの好演は見事だ。『恋空』や『赤い糸』などと同じくケータイ小説を映画化した作品ではあるものの、主人公の内面が細かく丁寧に描かれたこの作品の方が強く印象に残る秀作だと言えるだろう。