評     価  

 
       
File No. 0915  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年02月07日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   デヴィッド・フィンチャー  
       
上 映 時 間   167分  
       
公開時コピー   人生は素晴らしい。
80歳で生まれ、若返っていく男の物語
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ブラッド・ピット [as ベンジャミン・バトン]
ケイト・ブランシェット [as デイジー]
ティルダ・スウィントン [as エリザベス・アボット]
ジェイソン・フレミング [as トーマス・バトン]
イライアス・コティーズ [as ガトー]
ジュリア・オーモンド [as キャロライン]
エル・ファニング [as デイジー(7歳)]
タラジ・P・ヘンソン [as クイニー]
フォーン・A・チェンバーズ [as ドロシー・ベイカー]
ジョーアンナ・セイラー [as キャロライン・ボタン]
 
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あ ら す じ    1918年、ニューオーリンズのボタン会社社長トーマス・バトン氏に待望の長男が誕生するが、その赤ん坊はまるで死の一歩手間の老人のような容貌だった。妻は子供の将来をバトン氏に託して息絶えてしまうが、赤ん坊を気味悪がったバトン氏は、あろうことかその子を老人養護施設に置き去りにしてしまう。幸いにも子供に恵まれない黒人女性クイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、彼女が経営するその施設で老人たちと一緒に育てられることとなった。
 医者からは長くは生きられないと診断されたベンジャミンだったが、驚くべきことに彼は成長するにつれて普通の人間とは逆にだんだん若返っていく。そして、少年期を迎えたある日、彼は施設に入居している老女の孫娘デイジーと運命的な出会いを果たす。老人の姿をしたベンジャミンに対して臆することもなく、彼が実は少年であるという事実を受け入れて接してくれるデイジーは、彼にとってはかけがえのない存在だった。しかし、ベンジャミンが10代半ばになった時、クイニーが奇跡的に子供を授かったために、彼は自ら施設を出て生きていく決意をする。こうして、ベンジャミンとデイジーは別々の道を歩むこととなった。
 それから十数年が経過し、様々な体験を積んだベンジャミンは施設に帰ってきた。すっかり若返った彼を見てクイニーは驚きながらも、以前と変わらず暖かい愛情で迎えてくれた。そして彼は、2人の人間と再会を果たす。一人はは23歳に成長しバレエ団のトップ・ダンサーとなったデイジーだった。そしてもう一人は、かつて老人の姿だった少年時代に居酒屋で知り合ったバトン氏だった。以前より若返ったベンジャミンを見ても驚きもしないバトン氏は、ベンジャミンに意外な事実を告白する。ベンジャミンは実はバトン氏の息子で、自分はもう先が長くないために会社をベンジャミンに譲りたいと言うのだった。
 そのバトン氏も亡くなり、デイジーに会いに行ったベンジャミンだったが、折り悪くデイジーと気まずい別れ方をしてしまう。全く違う道を進むかに思われた2人だったが、やがて転機が訪れる。デイジーがパリで自動車事故に遭い、二度とダンスを踊れなくなってしまったのだ。そして、傷が癒えたデイジーがベンジャミンを養護施設へと訪ねてくるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    初日の23:45開演のレイトショーに臨み、上映が終わってすぐに携帯を見たら時刻は02:43。一瞬、携帯の時計が1時間狂ったのかと錯覚を覚えたが間違いではなく、ほぼ3時間にも及ぶ長尺の作品だった。老人で生まれて若返っていくという荒唐無稽なお話ながら、途中で時間が全く気にならなかったということは、時間を忘れて夢中になれる作品であったことは間違いない。
 これは完全に私の独断に満ちた感想ではあるのだが、ブラピ扮するベンジャミンの運命の女性にケイト・ブランシェットというのがどうも納得できない。ケイト・ブランシェットという女優がどうしても好きになれないというのもあるにはあるが、それ以上に(言っちゃ悪いが)彼女には若さが足りないと思う。いくら若作りしたところで、少なくとも23歳のデイジーを演じるには無理があり過ぎる。むしろ、老けるメイクはいくらでも可能なのだから、もっと若い女優を起用すべきではないだろうか。
 この作品でオスカーが噂されるブラピだが、演技自体は目を見張るようなものがないにもかかわらず、その存在感はさすがだ。デイジーと共に老いていくことができない辛さ。彼女と幸せな家庭を築くことができてもそれはつかの間で、やがて自ら身を引かなければならないジレンマには共感を覚える。最期は赤ん坊の姿になってデイジーの腕に抱かれて息を引き取るも、もはや彼女が誰なのかすらわからない。それでもなお生まれてきて幸せだったと彼は答えるだろう。そんな数奇な人生を歩んだ男の一生を描いた、上質のファンタジー大作だ。