評     価  

 
       
File No. 0920  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年02月14日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   宮藤 官九郎  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   好きです!パンク!嘘です!  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   宮ア あおい [as 栗田かんな]
佐藤 浩市 [as アキオ]
ユースケ・サンタマリア [as 時田]
勝地 涼 [as マサル]
ピエール瀧 [as 金子欣二]
木村 祐一 [as ハルオ]
田口 トモロヲ [as ジミー]
三宅 弘城 [as ヤング]
田辺 誠一 [as TELYA]
哀川 翔 [as かんなの父]
烏丸 せつこ [as 美保]
中村 敦夫 [as TVの司会]
 
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あ ら す じ    メイプルレコード社の契約社員OL栗田かんなは、ネットで新人の発掘をしていた時、“少年メリケンサック”というパンクのバンドを見つける。社長の時田に報告したところ、少年メリケンサックのプロデュースが失敗したらクビだという条件でOKが出たため、早速かんなは少年メリケンサックと契約するためにただ一人連絡先が判明しているベースのアキオに会いに向かった。
 1983年生まれとで現在25歳のアキオを探して巡り会ったのは、なんと50歳を過ぎたアルコール浸りのオッサンだった!かんながネットで見つけた動画は25年前の映像で、1983年というのはアキオの生まれた年ではなく少年メリケンサックが解散した年だったのだ。ところが、社長に事実を報告しようとかんなが連絡を入れると、時田は少年メリケンサックを掲載したホームページのアクセスが10万件を突破したと大喜びで彼女の話を聞こうともしなかった。時田が本当の事を知った時のことを考えると、その恐ろしさのあまりかんなは真実を告げられなくなってしまう。仕方なくかんなはアキオから突きつけられた「オリジナルメンバーを集める」という条件を果たすべく、アキオの弟でギター担当のハルオに会いに出向いた。
 都会で飲んだくれている兄と違い、田舎の実家で牛を飼い生計を営んでいたハルオは、兄のアキオを嫌っているらしくかんなの誘いには一向に乗ってこなかった。それどころか、牛の糞を投げつけてかんなを追い返す始末で、とりつく島もなかった。しかし、そんなハルオが急に意を翻してバンドを再結成すると上京してきた。そして、それに呼応するかのようにドラムのヤング、ボーカルのジミーも集まってきて、幸か不幸か少年メリケンサックのオリジナルメンバーが揃ってしまう。
 早速全国ツアーへと向かって出発する、中年オヤジのパンクバンド、少年メリケンサックとかんなの5人。社長の時田は依然として彼らが実はオッサンであることを知らない。果たして、少年メリケンサックのツアーは成功するのか?そして、彼らはかんなのクビをつなぎ止めることができるのだろうか?
 
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たぴおか的コメント    初めてクドカンこと宮藤官九郎の脚本が私の笑いのツボにはまった。いや、私だけではなく場内では終始笑いが絶えなかったことからも、この作品が観る者を選ばないエンタテインメントの秀作であるということが言えるだろう。今年観た作品の中ではズバ抜けた出来の爆笑コメディだ。
 役者陣がそろいも揃って個性的で、とにかく主演の宮アあおいのコメディエンヌぶりが抜群だ。喜怒哀楽の表情が豊かで、もともと美人というよりはファニーフェイス系だから、こういう役柄にはうってつけ。他の役者では、私は田口トモロヲ扮するジミーが気に入った。彼らが歌う“♪ニューヨークマラソン”が実はジミーのろれつが回らないためにそう聞こえてしまうという設定なのだが、そのあたりのごまかし方が実に上手いと思う。正しい歌詞はいち早くかんなにはわかってしまうのだが、観客にはなぜかそれが全く明かされずにラストのクライマックスを迎える。そして、テレビの全国ネット放送で明らかになる本当の歌詞を聞いた時は、もう笑いを抑えることなど不可能だった。「あんなアブナイ歌詞だったのか」と思うと同時に、「よく考えたなぁ」とつくづく感心させられた。
 蛇足だが、エンド・クレジットを観るまで田辺誠一が出演していることに全く気づかず、彼が出ていたことがわかってもなお、どの役柄だったのかはオフィシャルサイトを見るまでは謎だった。実に上手く・・・・・と言うか、実に気色悪く化けたものだ(笑)。