評     価  

 
       
File No. 0924  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年02月21日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   北川 悦吏子  
       
上 映 時 間   85分  
       
公開時コピー   だけど、それは、まだ  物語の途中・・・  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   北乃 きい [as ヒロ]
岡田 将生 [as シュウ]
溝端 淳平 [as タスク]
仲 里依紗 [as メメ]
成宮 寛貴 [as 高梨先生]
白石 美帆
大沢 たかお [as 平林先生]
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あ ら す じ    北海道、札幌。高校3年のヒロは、憧れのシュウが活躍するバスケットの試合中に倒れ、親友メメに付き添われて保健室で休んでいた。そこへ偶然相手との接触で怪我をしたシュウがやってきた事も知らずに、ヒロはメメに夢でシュウに告白したことを嬉しそうに話した。そしてその日の帰り道、ヒロはシュウから本当に告白されて舞い上がるのだった。
 地元の札幌福祉大学を目指していたヒロはシュウに志望校を尋ねるが、彼はハッキリと返答しなかった。そこで、シュウの友人タスクに探りを入れたところ、シュウは東京の早稲田を受験するつもりだとわかり、ヒロはショックを受けた。東京へ行くことを決めておきながら、なぜ自分に告白したのかをシュウに問い詰めるヒロ。しかし、シュウの気持ちが変わることはなく、ヒロはシュウからの携帯やメールにすら応じなくなってしまう。
 シュウは早稲田受験を諦めるべきかを考え始め、担任の高梨先生に相談した。将来も大事だが、今ヒロと一緒にいることも大事だと悩んだ末に、シュウは早稲田を諦めて地元の大学を受験する決意をした。そしてヒロは、シュウのその決意を再びタスクを通じて知らされることとなった。
 再びシュウと元通りの仲良しに戻ったヒロだったが、次第に彼女の中で疑問が湧き上がってくる。東京に行って欲しくない一心だったにも関わらず、いざシュウが東京へ行かないとなると自分のためにシュウの将来を犠牲にしているのはないかという不安がだんだん大きくなっていく。尊敬する書道の平林先生に相談したヒロは、今の気持ちを書に表せと言われて書いた文字は「行けな」。「行け」なのか「行くな」なのか、自分でもわからないヒロだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    言っちゃ悪いが、これほど酷い作品も珍しいと断言したくなる、最近では希に見る低レベルの作品。北川悦吏子といえば、2002年にフジテレビの月9『空から降る1億の星』で大不評を買って以来、もう引退したのかと思っていた。その彼女が脚本ばかりかメガホンまでを取るとあって、おそらくは懲りずにまた大コケするだろうと逆の期待を抱いて劇場に向かったが、見事にその期待に応えるどころか遙かに上回る惨憺たる出来の作品だった。
 確かに『空から降る〜』は散々で、サスペンスは書けないという底の浅さを露呈したとは言え、『愛していると言ってくれ』『ロングバケーション』『ビューティフルライフ』と大ヒット作を生み出した彼女のこと、ラブストーリーであればまだまだいけるのでは?などと微かな希望的観測を抱いた私が馬鹿だった。細切れにされ脈絡を欠くシーンの連続、素人としか思えない杜撰なカメラワーク、クライマックスのない平板な構成、北川本人が書いたという原作の陳腐さ(大学を目指す程度の学力を持ってる受験生が“half”を“ハルフ”などと発音するなどあり得ない)。素人がハンディカムで撮影した自主制作映画にも劣る、凄まじいばかりの作品と言わざるを得ない。
 唯一の救いは、主演の北乃きいだけだった。半分は彼女目当てで観た作品だったから、彼女の可愛さですべてが許せる・・・・・ワケないだろう、さすがにこの作品では。どんな高級素材を使おうと、料理人が駄目だったらいくらでも不味い料理になる。俳優という素材を使いこなせない監督が作った作品が酷いのは当然過ぎるほど当然の結果だ。それも並大抵の酷さではない。テレビと違って、映画の観客は劇場まで足を運んだうえでお金を払って観ている、そんな観客に敬意を払うどころか、「見せてやっている」かのような一種の傲慢さすら感じてしまう。“ラブストーリーの神様”とまで賞賛された過去の栄光の亡霊に囚われた人間には、もはや未来などない。久しぶりに「金返せ!」モードを一気に通り越して、極めて不愉快な後味の残った作品だった。