評     価  

 
       
File No. 0930  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年02月14日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   エドワード・ズウィック  
       
上 映 時 間   136分  
       
公開時コピー   人間として、生きるための[抵抗(ディファイアンス)]だった  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ダニエル・クレイグ [as トゥヴィア・ビエルスキ]
リーヴ・シュレイバー [as ズシュ・ビエルスキ]
ジェイミー・ベル [as アザエル・ビエルスキ]
アレクサ・タヴァロス [as リルカ]
アラン・コーデュナー [as ハレッツ]
マーク・フォイアスタイン [as イザック]
ミア・ワシコウスカ [as ハイア]
 
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あ ら す じ    1941年。両親を殺されたトゥヴィアズシュアサエルの3人のユダヤ人兄弟は、小さな頃から慣れ親しんだリピクザンスカの森で再会した。3人はとりあえず森で一夜を明かすが、翌朝姿が見えなかった末弟のアサエルが、数名のユダヤ人を連れて戻ってきた。かれらもまた森を逃げ惑っていたのだった。そして、その後次々とユダヤ人たちが合流してきて、瞬く間に一行は一大集団と化すのだった。
 トゥヴィアは食料を手に入れるために、父の親友だったコスチュクを訪ねる。食料と一丁の拳銃を譲り受けたトゥヴィアは、ここでもまたコスチュク宅の倉庫に身を隠していた数名のユダヤ人を同行することとなる。既に数十名の大所帯となった一行は、森の中に家を建てて共同体を形成することになった。彼らはしばしばドイツ軍を襲撃して武器を奪い、“ピエルスキ・パルチザン(民衆による非正規軍)”と名乗るようになる。そんな彼らの存在はソ連赤軍の目にとまり、トゥヴィアのやり方に納得できなかったズシュは数名の仲間を連れてソ連軍と行動を共にするために、トゥヴィアと袂を分かつことになってしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ナチスによるユダヤ人狩りといえば、もっと重苦しい内容の作品化と思ったのだが、もちろん軽薄や浅薄とは無縁ながら結構楽しめる娯楽性も兼ね備えた秀作だった。とにかく主演のダニエル・クレイグがいい。ある映画の掲示板には、「彼に華がないのが残念」という書き込みがあったが、私は逆に華がないのがより真実味があっていいと思う。まさにこの役柄にはうってつけの俳優だと断言したい。
 始まりは兄弟3人の逃避行であったのが、意に反して次々に行動を共にするユダヤ人たちが増えるにつれ、次第に自分達の利益よりも全体の利益を最優先させなければならなくなるジレンマ。そして、同じ立場の仲間内でもルールを乱す輩が現れて、これに対して鋼のような揺るぎない心をもって非情の決断を下さねばならないという痛切な思い。その辺りをダニエル・クレイグは実に見事に表現している。
 ラストのクライマックスでは、一行がドイツ軍の戦車に襲われて危機一髪という時に、兄と決別したはずのズシュが颯爽と現れて仲間を助ける辺りは、やや出来過ぎなようにも思えるが、緊張と緩和を巧みに配した構成の妙というやつで、2時間を超える尺でありながら一気にラストまで引っ張っていく訴求力は充分評価に値すると思う。往々にして平板で退屈になりがちな史実を描いた作品ながら、ここまでの作品に仕上げたエドワード・ズウィックの手腕が平凡ならざることの証だ。