評     価  

 
       
File No. 0934  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年03月07日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ロドリゴ・ガルシア  
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー  
その真相を追ってはいけない
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   アン・ハサウェイ [as クレア・サマーズ]
パトリック・ウィルソン [as エリック・クラーク]
デヴィッド・モース [as アーキン]
アンドレ・ブラウアー [as ペリー]
クレア・デュヴァル [as シャノン]
ダイアン・ウィースト [as トニ]
 
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あ ら す じ    小型旅客機が墜落事故を起こし、奇跡的に5人の乗客が助かった。セラピストのクレア・サマーズは彼ら5人のメンタルケアを受け持つことになる。生存者の5名のうち、全く異常はないからとセラピーを拒否したエリックには個別に話を聞くことにし、残る4名でのグループセラピーを開始した。ところが、4人に事故発生時の状況を語らせたところ、証言が微妙に異なっていることにクレアは気づく。人的ミスと発表された事故原因の裏には何か秘密が隠匿されている、そう感じたクレアは、事故の真相を突き止めようと決心する。
 一方、ひとりセラピーを拒否したエリックから話を聞くために彼の自宅を訪れたクレアは、なぜか彼がクレアに姉妹がいることや、彼女の珈琲の好みまで知っていることに疑問を持つ。けれども、クレアが疑問を問い糾そうとすると、エリックははぐらかしてまともに答えようとしなかった。そして、何度もエリックに会っているうちに、クレアはルールに反することだとわかっていながらも、患者であるエリックに次第に異性として惹かれていくのを抑えることができなかった。
 グループセラピーを重ねるごとに、次第に事件の謎が明らかになっていくが、ひとり、またひとりとメンバーが欠け、行方不明になっていく。そして、生存者を尾行する不審な人物や、彼女の行く先々に現れる航空会社のアーキンに、彼女はいよいよ航空会社が何らかの隠蔽工作を行っていると確信していく。ところが、生存者を尾行していた謎の男の正体が判明し、クレアは混乱に陥ってしまう。驚くべきことに彼は6人目の生存者であり、なぜかアーキンの顔に見覚えがあるというのだ。果たして、クレアは混乱しもつれた情報を解きほぐし、事故の真相にたどり着くことができるのだろうか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    これは参った・・・・・まさかこういうオチだったとは。アン・ハサウェイは正直あまり好みの女優とは言いかねるが、『プリティ・プリンセス』でデビュー以来、いい女優に成長してきたのは確かだ。だが、この手の作品ではいかに前半に布石を置くかでラストのオチが生きてくるわけで、その点では成功しているとはお世辞にも言い難い。そのため、ラストのオチがあまりに強引すぎるように感じてしまう。そして、ここから先はネタバレの地雷を踏んでも構わない人だどうぞ。読み方は『7つの贈り物』のコメント欄を参考に。
 正直、この作品は単純に見えた航空機事故の裏には巧妙な陰謀が隠されていた、というサスペンス物だとずっと信じて観ていたのだが、まさかあの作品の二番煎じ、いや、三番煎じ?・・・・・そんなのは何番でもいい。彼女が実は亡くなっていたことを臭わせる伏線が全く張られていないため、真相がわかった時にも「あぁ、そう」で終わってしまう。それどころか、むしろ矛盾を感じる点が多い。箇条書きで挙げるならば、@なぜ事故で助かったのが6名(いや、正確には7名と言うべきか)だけなのか。A彼女が街中ですれ違う人々は一体何者なのか、彼らも全員死んでいるのか。B姉の記憶はあるのに隣の過剰に親切な女性が叔母であった記憶がなぜ残っていなかったのか。Cエリックは自分の犬を見て真実を悟ったのに、なぜクレアはペリーやトニと何度も接触しながらも、アーキンから乗客名簿を見せられるまで真相に気づかなかったのか。Dそもそも、なぜアーキンはクレアだけに乗客名簿を見せたりしたのか、クレアが文字通り往生際が悪いからか。などなど、冷静に考えれば矛盾はまだまだ出てきそうだ。
 こういう作品が作られるところを見ると、ハリウッドがネタ切れの末期症状に陥っているのではないかという不安が一層増してくるのは、果たして私だけだろうか?